陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

日本選手権2016 ①

100m -0.3m
山県10.17
桐生10.31
大瀬戸10.41
長田10.45
馬場10.48
高橋10.49
九鬼10.53

ケンブリッジ選手が初優勝。

別にあちこちのメディアで脱がされてるから言うわけではないが、フィジカルで上回っていることがまず一つの大きなアドバンテージではないだろうか。

といっても、もちろん単にパワー寄りな走りではない。

スタートは山県、桐生の2選手に比べてやや上体が高い位置で起き上がるが、最も力を地面に与えやすいポジショニングなのかその後の動きもスムーズに流れ、接地は軽やかで動きに無理がない。

それでいて一歩一歩のパワーが瞬間的に力強く働くのでそのあたりが中盤以降のナチュラルな加速に繋がっているのではないか。

スタート直後は山県選手のレースだなと思ったが30〜40m辺りでその山県選手を射程圏に捉えた上でしっかり加速する下地を作れていた時点で勝負はあったように思う。

僅差のレースだったが、ケンブリッジ選手の完勝といったところか。

山県選手はレース後のインタビューで「最後以外は自分のレースだった」というようなことをコメントしていた。
最後に力んだのかどうかは分からないが、一気に詰められる気配は背後から感じたのではないだろうか。

あるいはスタート〜中盤までがうまくハマりすぎてしてしまい僅かに失速してしまったかもしれない。
動き自体はキレていたが踏み込みは布勢の時ほど鋭くはなかったようにも思う。

速く動いたのは山県選手で、前に進んだのはケンブリッジ選手、とでもいうのか。

これが海外レースなら展開的に山県選手のスタイルの方が有利かもしれないが、どうだろうか。
そのあたりも意識しつつオリンピックでの走りを見るのが楽しみになってきた。


最も注目を集めた桐生選手は3位。
右脚に違和感を感じたそうだが確かに中盤あたりで明らかに動きが変わっている。

違和感なく走っても3位だったと思うし勝負面から見ても評価は下がったかもしれない。
ただ、今大会はスタートから中盤の繋ぎが総体的によくなりつつあるようにも見えるし、本番では最も活躍する可能性も感じさせた。

インタビューでは泣いてモロさもみせたが、走りの芯には良い意味でしぶとく、傲慢で力強いものがあり頼もしく思ったがどうだろうか。





〜了〜