陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

全米選手権2016

今更ですが全米ネタ。

100m +1.6m
ガトリン9.80
ブロメル9.84
ブレイシー9.98
ロジャース10.00
ゲイ10.03

ここにきて9.80。
上位2人以外は好記録というわけでもないので、純粋に調子を上げてきたと見て
よさそう。

やはりガトリンはスタートで決めてしまう。
後半やや乱れそうな気配はあったが上体をやや前傾して上手く力みを回避し、減速を最小限に抑えたのではないか。

ブロメルも好走したがガトリンに勝つ要素はこのレースではなかったように思う。
しかし本番の強さは今季も健在なので、オリンピックでは優勝の可能性もゼロではないと思う。

そして意外と言っては失礼だがブレイシーが3位。
タイムは上位2人に離されたが、ロジャース、ゲイに勝って代表権を見事に獲得した。




200m+1.6m
ガトリン19.75
メリット19.79
ウェッブ20.00
ライルズ20.09
ノーマン20.14
ゲイ20.38

メリットとの激戦を制したガトリンが二冠。

というか、メリットが出てること自体知らなかった。
残念ながらオリンピックでは先に制した400mに絞るようだが専門外でも力を見せた。

しかし動きに余裕を持っていたのはショートを戦場とするガトリンの方か。

コーナーから力強さを見せつつもリラックスして直線でスムーズに切り替え、終盤は多少力みながらも上手く配分した余力でリズムを保ったように見える。
やはり一歩一歩の馬力の差によって余裕が生まれるのではないか。また結果的にはアウトレーンだったのも良かったかもしれない。

反対にメリットは僅かに突っ込みすぎたか全体的に力んだように見える。
まあガトリンに勝つなら戦略的に間違っていなかったと思うが、200mにおける場数の差が出たといったところか。
それでもハイレベルな争いを演出したことは本職に繋がるのでは。

少し心配していたウェッブは無事に代表入り。
ライルズ、ノーマンとジュニアも大健闘したが、スピードとキャリアが上回ったか。
しかし繰り上げで代表したライルズのしぶとさも侮れない。

また100mに続きゲイは落選。
大阪世界陸上の頃から9年経った今でもトップクラスであること自体が実は凄いことだと思うが、代表入り出来るだけの力はもうなかった。



〜了〜

ジャマイカ選手権2016

100m +0.7m
ブレイク9.95
アシュミード9.96
ミンジー10.02
パウエル10.03
ベイリー・コール10.03
ボルトDNS


ボルト選ばれましたね。

オリンピックに出なければどれ位の経済的損失になるのだろうかと勝手な心配をしました。

他のプロスポーツに比べて選手自体の市場に対する直接的な単価は安いかもしれませんが、テレビ局の放映権やからなんやら考えたら計り知れないロスになるのかもしれません。


さて、レースの方は復調してきたブレイクが優勝。
まだまだ仕上がっていないがトップでゴールできるのはやはり技術的な面が大きいのではないかと思う。

競りながらも淡々とレースを構築する基盤があり、そこに関してはどんな展開であれ大きく飲み込まれることがない。

ロンドン五輪の決勝も大差はつけられたがやはり素晴らしい走りだったんだなと改めて思う。

パワー自体はアシュミードの方があったように思うが、正確性とそこから生まれるスムーズさでタイム差以上に圧倒したといえるのではないか。

そしてパウエルは3位内にも入れず。
こちらもパワーはある程度健在だが、スタートに鋭さや迫力がなかったか。
散々世界大会で見てきた選手だが、やはり不在となると寂しいものがある。


200m -1.5m
ブレイク20.29
アシュミード20.45
フォルテ20.45
ウィアー20.50

ブレイクが二冠。
100m以上に仕上がりは悪いが、やはりこちらも自身のリズムを崩されることはなかった。

フォルテも前半健闘したが、最後まで持たなかった。

ブレイクはどこまで復調するだろうか。
9.80、19.70あたりまでいきそうな気もするが世界大会のブランクもあり正直よくわからない。

ひとまずは、よく帰ってきてくれました。
やはり名スプリンターですね。


〜了〜


日本選手権2016②

200m+1.8m
飯塚20.11
高瀬20.31
原20.33
川瀬20.65
大瀬戸20.72
藤光20.77
谷口20.81
長田DNS


予選の走りを見る限り藤光選手の優勝もあるか?!、、と思いましたが残念ながら怪我で失速。
間に合わせようと焦ったというようなコメントを見かけましたが、想定以上に仕上がりが遅かったのか。

飯塚選手は自己ベスト。

相当風が良かったからか、20.3台前半位の走りにも見えたが何はともあれ圧勝した。

一番スピードに乗った状態でコーナーを抜けてそのまま他の追随を許さなかった。

身体の大きさの割にコンパクトな動きだが、小忙しい動き(なんだそりゃ)ではなく微妙な乱れなどで失速するリスクを最小限に抑えた走りとでもいうのか。

腕振りもコンパクトだが振り下ろすときに地面を宙から押し込むような力強さを感じる。

歴代2位ということで末續選手との記録差は0.1秒未満となった。
が、実力もそのあたりのラインかというと正直そうは思わない。
オリンピックでそんな印象を覆してほしいが。

高瀬選手は危ないかも?と大会前は思ったが見事に代表入りした。
まだまだ切れ味のない走りだが好調時のベースは崩れることないように見えた。

そのあたりはこれまで培った技術と感覚で大きくカバーできた面もあり、元々400mをやっていた経験など引き出しの多さも大きくプラスに作用したのではないだろうか。
また100mは捨てて正解だった。

原選手は残念ながら代表入りできなかったが見事な走りだった。
後半の強さに加えて前半から攻められるスピードもついたように思う。


400m
ウォルシュ45.35
加藤45.71
北川45.93
田村46.15
佐藤46.30
藤原46.41
堀井46.52
廣瀬46.64

今季45秒台を連発していたウォルシュ選手が優勝。

なかなか切れなかった標準を大一番で切ったところも見事。

まだまだ伸びしろがあり、44秒もいくのでは。

何より気になったのは骨盤の形とそこを軸とした動き。
走るための骨盤というのか。
積んでるエンジンが違うというのか。

加藤選手と北川選手もよく仕上げてきた。
金丸選手が先に代表入りしたが、マイル出れるならこの2人は代表に入れてほしいところ。



その他 雑感

福島選手の200mはお見事。
こちらも相当風が良かったようだが、前半あそこまで責めに責めまくって後半ぶれなかったその内容が素晴らしい。

また室伏選手や岸本選手、高平選手、金丸選手ら代表の常連があっけなく敗退してしまった中でベテランの澤野選手が優勝したことが印象深い。

なんとか標準を突破してほしいところ。


〜了〜





日本選手権2016 ①

100m -0.3m
山県10.17
桐生10.31
大瀬戸10.41
長田10.45
馬場10.48
高橋10.49
九鬼10.53

ケンブリッジ選手が初優勝。

別にあちこちのメディアで脱がされてるから言うわけではないが、フィジカルで上回っていることがまず一つの大きなアドバンテージではないだろうか。

といっても、もちろん単にパワー寄りな走りではない。

スタートは山県、桐生の2選手に比べてやや上体が高い位置で起き上がるが、最も力を地面に与えやすいポジショニングなのかその後の動きもスムーズに流れ、接地は軽やかで動きに無理がない。

それでいて一歩一歩のパワーが瞬間的に力強く働くのでそのあたりが中盤以降のナチュラルな加速に繋がっているのではないか。

スタート直後は山県選手のレースだなと思ったが30〜40m辺りでその山県選手を射程圏に捉えた上でしっかり加速する下地を作れていた時点で勝負はあったように思う。

僅差のレースだったが、ケンブリッジ選手の完勝といったところか。

山県選手はレース後のインタビューで「最後以外は自分のレースだった」というようなことをコメントしていた。
最後に力んだのかどうかは分からないが、一気に詰められる気配は背後から感じたのではないだろうか。

あるいはスタート〜中盤までがうまくハマりすぎてしてしまい僅かに失速してしまったかもしれない。
動き自体はキレていたが踏み込みは布勢の時ほど鋭くはなかったようにも思う。

速く動いたのは山県選手で、前に進んだのはケンブリッジ選手、とでもいうのか。

これが海外レースなら展開的に山県選手のスタイルの方が有利かもしれないが、どうだろうか。
そのあたりも意識しつつオリンピックでの走りを見るのが楽しみになってきた。


最も注目を集めた桐生選手は3位。
右脚に違和感を感じたそうだが確かに中盤あたりで明らかに動きが変わっている。

違和感なく走っても3位だったと思うし勝負面から見ても評価は下がったかもしれない。
ただ、今大会はスタートから中盤の繋ぎが総体的によくなりつつあるようにも見えるし、本番では最も活躍する可能性も感じさせた。

インタビューでは泣いてモロさもみせたが、走りの芯には良い意味でしぶとく、傲慢で力強いものがあり頼もしく思ったがどうだろうか。





〜了〜



日本選手権 予想

サニブラウン選手の調子が今ひとつよめないんだなぁ、、と思っていたら棄権だとか。

残念です。
オリンピックの舞台で見たかった。

が、勇気ある選択ですね。



100m
ざっと優勝候補をあげるなら、

山県
桐生

やはりこの3選手。

高瀬選手は出遅れていているので候補からは外そうと思っていたらいずれにせよ200mに専念するという情報が入ってきました。


単純に今季直接対決のデータで言えば
山県選手。
ただ桐生選手が先日10.01を出したこと、またケンブリッジ選手も10.10の走りが素晴らしかったので悩むところ。

また予選や準決勝で好記録が出た場合は流れが変わる可能性もある。

ただやはり「並んだ時の強さ」で山県選手としておきます。

先日のレースで自信をつけた桐生選手が並んでも粘り勝ちするかもしれませんが、学生個人も決勝はやや力んだようにも見えましたので、3本目でベストに持っていくのは現時点では厳しいかと。

スタートから圧倒できればそのまま逃げ切る可能性もあるかもしれませんが、それは考えづらい。
むしろ山県選手は川崎と布勢で多少躓きながらもスタートで優位に立っているその安定感も大きなアドバンテージになると予想。

ケンブリッジ選手がスルスルと抜け出るパターンもあるかもしれないが、キャリアの差を考えて外しました。

優勝タイムは条件が普通なら10.10前後、雨天で10.2台前半〜中盤ってところでは?


200m

こちらは飯塚、藤光の2選手に自分の中では絞られている。

高瀬選手も頑張ってほしいところだがやはり出遅れていることを考えて優勝候補からは除外。

ポイントは藤光選手がどこまで上げてくるか。

一気に上げてくるだろうとは思うが、単純に大会前の差の大きさを考えて飯塚選手が20.2台あたりで勝つと予想。

優勝は難しいだろうけど2年前のチャンピオンである原選手も代表争いに加わる可能性があるかもしれない。



〜了〜

DLストックホルム

100m -0.8m
ハーヴェイ10.18
メイテ10.25
ベイリー10.31
ロック10.31
キルティ10.31

今季9秒台をマークしている2人が順当に上位にきた。

ただハーヴェイとメイテはタイム以上に内容に差があったように思う。

低い気温、雨、スタートのやり直し等々の要因に自滅していった選手が多かったように見えたが、ハーヴェイだけは冷静にかつ丁寧に自身の走りができたのではないか。

走力の差もあると思うが総合的にも一つ抜けていて、タイムは悪いが見応えのある走りだった。

メイテも先日いい走りをしたロックら実力者に勝っているので、ある程度自信になるかもしれない。

おそらくこの上位5人がオリンピックでもセミファイナルに勝ち上がってくるであろうラインだと思うが、ここに日本人が入るとどうだろう。

今回のような条件なら大崩れして遅れそうな気もするし、2番手争いあたりに位置できるような気もする。

いずれにせよ海外の強豪選手はこういったレースをいくつも積み上げているだけに手強いんだろうなと改めて思う内容だった。



〜了〜




DLオスロ

100m +0.6m
ディグラス10.07
ロジャース10.09
ロック10.12
ウェッブ10.18
マクリーン10.32
コフィ10.35
コリンズ11.59

期待されたコリンズは途中で脚を痛めてしまった。

序盤からトップに立ち、そのままいくか?と思わせる位の飛び出し方だったが、やや大きすぎたようにも見えた動きに無理があったのだろうか。
しかも低温のレース。
非常に残念だ。。

そんな中ディグラスは冷静に追い上げて優勝。

パワーレスな印象はあるが、 しっかりとレース区間内に力を出し切る能力が高いというのか。

誰がどうきても、あるいは自身のスタートが多少出遅れたりしてもしっかりとその都度集中してレース構成を組み立てるのが相当巧いのでは。

そのあたりがライバルのブロメルよりも一枚上手だなと思わせるところ。
タイムは今ひとつだったが、まだまだ調子を上げてくるだろう。

ロジャースは今年も定位置。
だがこちらもまだ調子は上げてきそうな気配。

コリンズにばかり目がいってしまったがロックも好スタートをきり、そのまま押し切った印象。
1レーンがかえって良かったのか。

ウェッブはまたま下位に終わる。
意図的な調整による結果ならいいが、身体がついてきていないのが気になるところ。



〜了〜