桐生選手が10.01
先日行われた学生個人100mの準決勝で桐生選手が10.01(+1.8m)の歴代2位タイ、自己タイを記録。
また学生新でもあり派遣設定記録も突破した。
布勢スプリントの時のような力みはなく、しなやかで柔軟性のある走りだった。
スタートの一歩目がナチュラルで、二歩目、三歩目とその流れを推進力に変え、以降も一歩一歩無駄なブレーキがかかることなく滑らかに加速して自然なストライド、タイミングで接地できたのでは。
過去に出した自己ベストは爆発的な走りだったが、今回は動きにゆとりを持つことにより部分部分で出力を最大限に上げる効率的な走りとでもいうのか。
敵がいないレースだったからできた走りかもしれないし少しズレれば一気に乱れそうな気配はあるが、実戦でこの動きができたのは大きいはず。
まだまだ改善点もあると思うが、今季やっと噛み合い始めたのではないだろうか。
ちなみに予選は10.17、決勝は10.10とアベレージも高かった。
9秒台云々はさておき、この試合を経て本番の日本選手権で山県選手やケンブリッジ選手らと並んだ時にどこまで動きを上手く制御、処理できるか。
並ぶことなく序盤から抜け出せればいいだろうけども、山県選手のスタートの出来などを考えるとその展開は今のところ考えづらい。
〜了〜
DLローマ
更新遅くなりました。。
100m +1.0m
ガトリン9.93
ウェッブ9.94
ビコ9.99
スタート自体は相変わらず突出しているガトリンだが、やはり昨年のような伸びがなく相手の射程圏内から抜け出せない。
そして今回は0.01秒差まで迫られた。
ウェッブの調子自体がかなり良かったのもあるだろうが、可動域がやや狭くパワーとテクニックで押し通した走り、よく言えば調子に合わせて上手くまとめた走りといったところか。
全米で一気に調子を上げてくる可能性もあるかもしれないが、現段階では不安要素あり、のままとなった。
そしてウェッブは後述の200mに続いて見事な走り。
やや突っ込み過ぎにも見えるが、上手く上体のバランスは取れていることで、しっかりと前へ前へと踏み込めているだろうか。
先に200mを走ったことで上手くストライドが伸びたのもあるかもしれない。
いずれにせよこの種目でも代表争いに絡んできそうだ。
200m+0.6m
ウェッブ20.04
ブラウン20.24
エドワード20.25
ルメートル20.27
・
・
・
7.ブロメル20.80
こちらのレースもウェッブが快走。
100mよりもゆとりがあり、コーナリングで得た推進力をスムーズに自身の走りにフィットさせた。
ブラウンが予想外に大健闘。
周りが自滅したのもあると思うが大外から冷静に走った。
エドワードは相変わらずのポジションを維持。
レース数が多いだけにその都度実戦における課題を修正してくればここから抜け出すかもしれない。
ルメートルも仕上がっていない割にはよく粘ったと思う。
そして、ブロメル。
前半は走力の違いを見せつけたがコーナリングがここまで雑だとは。。
逆に制御できないパワーを感じたりもするが。
400m
ファン・ニーケルク44.19
タプリン44.43
マクワラ44.85
やはりこの種目はファン・ニーケルクがやや抜けているか。
まだ動きにキレがないようだが、しっかり身体の芯で地面を捉える正確な動きはやはり次元の違いを感じる。
タプリンも見事な走りでタイムも良かったが、実際のタイム差以上に実力の差を感じた。
ジェームス、メリットと走った場合どうかはまだ今季試されていないが、
最も崩れにくいように見える走りだった。
マクワラは徐々に調子を上げつつあるようだが、昨年並みに戻せるかどうかは微妙なところか。
五輪には合わせてきそうだが。
〜了〜
布勢スプリント2016
まずは結果から。
M100m -0.5m
山県10.06
桐生10.09
高瀬10.25
大瀬戸10.31
藤光10.31
原10.31
土手10.37
九鬼10.42
というわけで9秒台は出なかったが初の日本人同士の10秒0台での争いとなり、山県選手が勝った。
山県選手は2〜3歩目で僅かにバランスを崩したかに見えたが、それほど影響はなかったのだろうか。(ないとは思えないが)
川崎の時も同じようなことがあったが、その時もしっかり立て直している。
それだけスタートに幅をもたせるだけの余裕があるのか分からないが気にはなる。
予選ではほんの一瞬動きが遅れたようにも見えたのでその辺りをスムーズに飛び出せるよう改善しようとした結果かもしれないが。
それ以外は今回も完成度が高い走りだった。
多少後半は力んだのかもしれないが、しっかりと腰から身体が前へと乗り込み、ロスのない走りだったと思う。
桐生選手は力んでしまい動きがバラついたか。どちらかというと予選の方が良かった。
出力自体は負けていない、というよりむしろ山県選手より上だと思うが、一歩一歩の処理能力の差が勝敗を分けたのではないか。
やはりスタートから中間疾走へがうまく連動していないように見える。
反対にそのあたりが噛み合えば凄いことになるかもしれないが。
心配された高瀬選手は完全復活でないにせよまずまずの走り。
動きに調子がついてくれば昨年並みの走りに戻してきそうに見える。
少なくとも100mは。
藤光選手も調子を上げてきたように思うが、山県選手の次に仕上がっていたのは原選手ではないかと思う。
100mでは厳しいだろうが、200mなら代表争いに絡んでくる可能性があるのでは。
〜了〜
コリンズが9.93
今季アウトドアの走りを見る限り、40代の9秒台は僅かに届かないのではないかと予測していたが、まさか自己新で達成するとは思いもしなかった。
9.93といえば30年ほど前までの世界記録。
コリンズが10歳位の時の世界記録に自身が40歳で並ぶとは思わなかっただろうな。(だからどうしたと言われればそれまでだが)
オリンピックに出場したら、どうだろう。メダルはさすがに難しいだろうけども入賞は圏内か。
と言いたいところだが、厳しいのではないかと予測。
今回のレースは見事だが、記録に関しては風速やトラックとの相性など条件面が後押しした部分が大きいのではないかと思う。
また強豪たちとの競り合いの中でラウンドを重ねるのも体力的に厳しいのではないか。
といいながらも勝ち上がってきたらこれほど面白いことはない。
また今季いまひとつ盛り上がりに欠ける100mで最高齢のトップスプリンターがこういった結果を残したこと自体が素晴らしい。
オリンピックに限らずこのレースを経てコリンズが次戦以降どんな走りを見せてくれるのかその内容が興味深い。
〜了〜
DLユージーン
久しぶりに男子短距離ネタ以外の話から。
今大会最も注目を浴びたのはW100mHを歴代2位の12.24(+0.7m)というビッグレコードで制したケンドラ・ハリソンでしょう。
これは驚いた。
ウトウトしながら見てましたが一気に目が醒める、強烈なレースでした。
この選手の走り自体を見たのが多分初めてで、レース前の印象は小柄な選手だな、パワーも感じないし、この選手が3台出したのかぁ、というのが正直な感想。
ただ、スタートした直後に度肝を抜かれた。
序盤から抜け出してあれよあれよとリードを奪い、ロリンズやストワーズら強豪を置き去りにして速報12.22でゴール
。
所謂走りの延長線上のハードリングというのか、とにかくナチュラルで無理がない。
小さな身体ながら全身をフルに使ったダイナミックな走り、、というかなんならハードルを置くことで動きがまとまっているようにすら見える。
それでいて体がハードルに向かって浮かび上がる直前などに上体のポジショニングでインターバルを微調整しているかのような繊細さ、器用さも垣間見える。
まだまだ試されていない部分も多いとは思うが、世界記録更新は数字が表すとおり可能だろう。
100mはガトリンが9.88(+2.6m)で優勝。
やはり現時点では昨年ほどのキレはないか。走行位置が右に左にと安定していないのもきになる。
ただ、明確に勝つことがやはりこの選手の力量。
パウエルが9.94で2位、ゲイが9.98、ロジャースが9.99と実力者が順当に上位を占めた。
ゲイはやや調子が上向いたかもしれないが、ブロメルもいることを考えると代表はギリギリといったところか。
そして下位には終わったが蘇はやはり凄いな。
400mはジェームスが44.22で優勝し、44.39で2位のメリットを退けた。
メリットが勝つのではないかと思っていたがいまひとつスピードに乗らず、体もやや重く見えた。
対するジェームスもそこまでの仕上がりではないだろうが、自分のリズムをしっかりと構築できたレースだっただろうか。
この選手はダメかなと思っても次のレース、または次のシーズンには持ち直してくるところがあるように思う。
そのあたりと踏まえた戦術的な駆け引きも今季は面白そうだ。
〜了〜
DLラバト
ダイヤモンドリーグ初のアフリカ開催。
いつか、日本でも開催してほしいですね。
200mはエドワードが20.07(+3.8m)で優勝。
2位のコフィに0.28秒差をつける圧勝だが、走りはまだまだか。
軸が定まっていないというのか安定感がなく、動きがバラついているようにも見える。
ただ中米の選手らしく柔軟性があり、身体の芯から強靭なバネ(矛盾した表現かもしれないが、しなやかなバネというのとはちょっと違う気がする。。)を感じる。
そのあたりの地力と接地のタイミング処理でここまでの走りが出来るのだとしたら改めてすごい選手だな、と思う。
まあひとまずは合格点の走りだったのでは。
400mはメリットが44.66で優勝。
アウトレーンから果敢に攻めたマクワラを射程圏内で確認しながら淡々とスピードを維持。
終盤落ちてきたマクワラを捕らえてあとはそのままの流れでゴールするという冷静な走りだっただろうか。
今季200mで見せたようなキレはなく動きが硬いようにも見えるがそのあたりの現状を踏まえてのレースプランというのもあったかもしれない。
マクワラは最後にケビン・ボルリーにも抜かれて45.38で3位。
ボルリーが45.26で2位となった。
〜了〜
東日本実業団2016
100mは山県選手が10.12で優勝。
準決勝では10.08をマークしました。
完成度はナンバーワンでしょうね。
パーフェクトに近い走りじゃないでしょうか。
95〜98点の走りを連発しているというのか、そのアベレージを踏まえても今季現段階では最強か。
もちろん多少の波はあるようだが、走りの基点が定まっているので大崩れはしない気配があります。
海外レースやここ一番のレースでどうかはまた別問題ですが、4年前の躍進時より洗練されながらも自信をもった大胆な力強さを感じます。
予選で10.10をマークしたケンブリッジ選手の走りも伸びとパワーがあり見事でした。
ダイナミック故の脆さもあるように見えますが、そのまま押し通しそうなエネルギーも感じます。
200mの予選がそのあたりの判断材料になりそうでしたが、飯塚選手の好走も手伝っていい意味でわからない部分がありますね。
ただコーナリングの質から察するに日本選手権で100mに専念するのは大瀬戸選手以上に正解かなと思いました。
〜了〜