アジア大会2018 その1
100m +0.8m
蘇9.92
オグノデ10.00
山縣10.00
モハメド10.10
楊10.17
タフティアン10.19
ゾーリ10.20
金10.26
想像以上にハイレベルなメダル争いとなった。
蘇は予選から次元の違いを見せていたが、やはり強かった。
スプリント力も抜けている上に、あれだけ正確な動きをされたらなかなか勝てないな。
表情を見ると力んでいるように見えるが、足の運びはスムーズで柔らかい。
ベストな高さに引き上げられ、ベストなタイミングで振り下ろされ、ベストな位置で地面を捉える。
その動きはリラックスされた中で行われているが、接地の一瞬は物凄いパワーを生んでいる。
ここ数年はレースごとにグレードアップしているのではないだろうか。
山縣選手は9秒台で銀かと思われたが惜しくも届かず銅メダル。
オグノデが僅かに上回った。
本人も言っていたように今できるベストな走りだっただろうし、過去の国際舞台の中でも最高の内容だったと思われる。
しかも今回は予選から修正を加えて決勝まで上げてきたことが素晴らしい。
メダルの差はオグノデに比べて僅かなポジショニングの問題だろうか。
放送カメラの位置もあるかもしれないが、いつもよりほんの少しだけ、上体、頭の位置が前に来ていたように思う。おそらく1度とかそのくらいのレベルだろうけども、身体が完璧に乗り込みきっていなかったようにも見える。
といっても走り自体が乱れたわけではなく、むしろ最後までよく動きを制御できたと思うが。
オグノデは勢いもあっただろうけども、ダイナミックなだけでなく、山縣選手よりも一歩一歩体重を乗せていく冷静な走りだっただろうか。
最後まで自身のストライドを殺すことなく、蘇を詰めれるところまで詰めた。
この選手がここまでくるとはおそらく誰も思っていなかっただろうけども、今回のレースを盛り上げた立役者となった。
モハメドとタフティアンはメダル候補とみていたが、モハメドはスタートでやや体勢を崩したのか、上下動が激しくロスを生んで崩れてしまった。
それでも10.10だから地力はある。
またタフティアンはスタートで出遅れたものの、中盤よく粘ったがそれで力を使い果たしてしまったか。
そしてそんな2人の間に予選で最高の走りを見せた楊が割り込む充実ぶり。
更に、謝も出場していないなかでのこの結果だからアジアも上位層はレベルが上がっている。
そして、メダルラインは10.00である。
3以内だけのレベルで言えば全米選手権やジャマイカ選手権で表彰台に登るくらいにハイレベル、というのは言い過ぎだが、それに近づいてきた結果だったと思う。
ただ、現実的に見ればこれだけ圧勝した蘇が世界のファイナルでどこまで戦えるかどうか、といったところだろう。
しかし課題はあれるけども、ファイナルを狙える最低限の基準ラインにいることを山縣選手は改めて証明したと思われる。
なおケンブリッジ選手は自分の走りができずに決勝に進めなかったが、大会前のランキングと今回のファイナリストを見れば、「まさかの落選」とはいえないだろう。
少なくとも、前半で抜け出せないとアジアでもラウンドを進めることは出来ないということか。
400m
ハロウン44.89
ヤヒヤ45.69
ハミス45.70
ラジブ45.84
ウォルシュ45.89
リトビン46.17
アバス46.41
クマラゲ46.49
ハロウンは圧勝ではあるがそこまでの余裕は感じなかった。
ダイヤモンドリーグを見据えての今の状態なのかもしれないが、まあこのメンバーで1秒近い大差をつければ上出来か。
ウォルシュ選手は目指しているところはもっと上だろうけども、徐々に国際大会での位置を上げていっている。
決勝もよく粘ったが、準決勝で着順通過ラインの2着を後半逆転して勝ち取った走りもなかなか見応えがあった。
レースの流れに乗って、その中で最大限自身の走りをするということにおいては今大会いずれのレースも成功したのではないか(そんなプランかどうかは知らないが)。
メダルを獲得した2人は余力の差だろうか。
ハミスはよく追い上げたが、そこまでが放され過ぎた。
対してヤヒヤは攻めてはいるが、柔軟性があり、一歩の負担が他の選手より少ないのではないか。
結果、安定したイーブンペースを貫き、2着を確保した。
〜続く〜