陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

Rioオリンピック 6

400mリレーで日本チームやりましたね。

 

正直落選もあり得ると思っていたこともあって余計に驚きました。

 

山縣選手の1走、桐生選手の3走という戦略が柱となり、見事にハマってますね。

決勝が楽しみです。

 

さて、本日行われた男子200mについてです。

 

男子200m決勝-0.5m

ボルト 19.78

ディグラス 20.02

ルメートル 20.12

ジェミリ 20.12

マルティナ 20.13

メリット 20.19

エドワード 20.23

グリエフ 20.43

 

ボルトは宣言していた通り記録を狙いにいったが、自身の世界大会優勝記録としては最も悪いタイムに終わった。

 

スタートから攻めていたが、伊東氏も言っていたようにコーナー出口でやや外に振られてしまった。

その手前で直線に向かう軌道(内側に向かう軌道)がやや早めに訪れてしまい、微妙な調整をした結果、膨れてしまったようにも見える。

 

それだけ前半から力を入れていたのだと思うが、うまくスピードに乗り切れず後半は苦しかったのか上体の力みも感じた。

 

全盛期の動きやスピード感と実際の感覚にズレを感じたのではないか。

後続をもっと突き離しているはずなのに思いのほか離れていない、といったように。

衰えなのか疲れなのか、はたまた怪我による準備不足だったのか。

 

しかし、それらはあくまで世界記録を狙うという観点からの見方であり、レース自体は見事なものだった。

 

全盛期ほどではないにせよ、世界大会の決勝で見せる走りはいつも以上にダイナミックながらしなやかであり唯一無二、異次元の迫力を感じる。

また力みながらも接地自体は正確だったように見えるし、地力だけで勝ったわけではない。

 

これで2種目3連覇の偉大すぎる記録を達成。

そしてこのレースも含め、全てのレースでその時の全てのトップアスリートを圧倒して勝っているということがグレーテストの証。

 

 それにしても本当にスーパースターだな。

トラックを引き上げる際に、最後に自分の走った6レーンゴール付近で跪き、トラックにキス。

神に祈って立ち上がってからのライトニングボルトポーズ。

 こんな痺れる振る舞いがさまになる男は他にいない。

 

 

ディグラスは100mに続きメダル獲得。

想像以上にボルトに出られてやや硬くなったようにも見えた。

ボルトが外側だったことから大きな壁に前へ出る力を抑えられたような気分だったかもしれない。

 

しかしスピードの差で3位以下の選手に差をつけた。

まだキャリアが4年程度とのことかだが、そのような荒さは全く感じない。

もちろん課題は多々あるだろうから今後どのように洗練されていくか楽しみだ。

 

3位争いは熾烈なものとなったがルメートルがテグ世界陸上以来5年ぶりのメダル獲得。

 

前半は少し出遅れ、おそらく100mの通過は7番目だったのではないだろうか。

だが、どんどん離されるというよりかは差を一定に保ち出遅れを最小限に抑えた印象。

メダル射程圏の差で直線を迎えるとあとは大きな走りで力を出し切った。

僅差の中メダルを獲得できたのはやはりフィジカルの差か。またその部分を最大限に発揮する落ち着いた走りができた。

フィニッシュもピッタリと200mで力を使い果たした時に訪れたかのごとく見事だった。

 

ジェミリもメダルは逃したが大健闘。

2レーンとは思えぬ見事なコーナーワークで駆け抜け、直線でもいい位置につけた。

そこからは上体の強さで身体が浮かないようにスムースに進んだ。接地の際に頷くように首が前へ動くが、ロスでははなく逆に微妙なバランスとタイミングを取っているように見える。

ただ、最後10mあたりで僅かにその間合いがずれたようにも見え、ほんの僅かな差でメダルを逃したか。

 

なんと厳しい戦い。

改めてメダル獲得がいかに偉大なのかと思わされる。

 

 

マルティナは決勝でも素晴らしい走り。

もう謝るしかないな(何をだ)。

 

多少力んだと思うが準決勝同様にロスのないタイミングで走り抜けた。

ルメートルとジェミリに劣ったのは現時点の走力の差か。

逆に言えばそれでここまでの戦績を残すのだから本当に200mのスペシャリストだな。

今更だが北京での幻のメダルが悔やまれる。

が、あれがあったからここまで円熟味のあるスプリンターになったのかもしれない。

 

メリットはコーナー自体は良かったが、ショートスプリンターのスピードに圧倒されてしまった。

直線では準決勝までのようなキレはなく、動きが噛み合っていなかった。

ディグラスとボルトに挟まれたことが悪く影響したか。またスタートで遅れたことも響いたかもしれない。

 

 

エドワードは前半まで悪くない位置にいたが、走力の差で抑え込まれいつものように後半出てこれなかった。

 

雨、風の影響もあってか世界大会の決勝としては記録がやや低調だったようにも見えるが、今季多くのトップクラスの大会において安定感のあったエドワードが下位に沈んでしまうんだからこのレースのレベルの高さが分かる。

 

グリエフは体も動きも大きいだけに1レーンはきつかったか。

準決勝でジェミリに僅差で負けた時点で明暗を分けた。

いや、2レーンもきつかったか。

しかしよくここまで勝ち上がった。

 

以上

 

大会もあと僅かですね。

 

時間があれば久々に女子短距離ネタも書こうと思います。

 

 

〜続く〜