陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

Rioオリンピック 2

M100m決勝+0.2m

ボルト 9.81

ガトリン 9.89

ディグラス 9.91

ブレイク 9.93

シンビン 9.94

メイテ 9.96

ビコ 10.04

ブロメル10.06

 

レース後、選手自身が言うように準決勝から決勝までの間隔が短すぎたのだろう。

記録は伸びず、ほとんどの選手が疲れを見せていたと思う。

 

見る側はそれはそれで見どころがあるが、走る側からしたらたまったものではないか。

  

ボルトは準決勝の走りからすれば7台前半の可能性もあるのではないかと思えたが、そんな疲れからか上体が硬く動きもやや重いように見え、明らかに予選・準決と比べると加速するまでも加速して以降もスムーズさ欠けた。

 

ただ、同様に疲れていたもののガトリンのスタートは素晴らしく、ボルトは前半リードされたことによってて動きを制御された部分もあるのではないかと思う。

一矢報いたというところか。

ただそこまでだった。

 

本来のしなやかさはなかったものの他を圧倒するには十分なスピードを序盤で構築しており、そこに一歩一歩慎重に乗っていくだけで勝利は確実だった。

 

本人も40~50mあたりでそれを確信したのではないか。

それにしてもなぜ条件も体調もベストでない中でここまで「正確に圧倒」できるのか。

 

やはりどんな条件下であれ一歩の凄さが違うのではないか。

前に振り出された脚が頂点に達した時、膝の位置が自分の体に対して誰よりも遠く、そして高い位置にありそこから振り下ろされて接地する際に発生するエネルギーは半端なものではないのであろう。

そしてそのエネルギーを逃さないだけの柔軟なバネとしなやかさがあり、今回のようなやや雑に見える走りでもしっかりとロスを最小限に抑えた処理がなされている。

ガトリンと比べても脚が流れておらず、前で捌けていることからも技術的に上回っていることが改めて証明されたのではないか。

 

ガトリンはボルトに勝つには最低でも昨年並みの調子は必要だった。

つまり9秒7台前半を狙えるくらいの調子であり、中盤までに大きく抜け出る仕上がりである。

まあ昨年と比較しても仕方ないが。

 

しかし序盤では異次元の強さを見せ、はっきりとリードを奪い、先に述べた通り見せ場は作った。

そこからもよく粘り、「最速の2番手」の座(矛盾した表現だな)を譲らなかったことはさすがである。

 

自身の走りを最大限に発揮したという意味ではディグラスが一番かもしれない。

脚の回転が高速ながらも振り下ろしから接地までがコンパクトにまとめて無駄がない。

また力を入れるタイミングの感覚もずば抜けているのではないか。

華奢なようでも総合的に見て力強いんだな。

 

ブレイクの動きは正確で最も冷静だったかもしれない。

だがやはり現時点の実力内での話であり、一つ一つの動きの完成度が高いわけではなく勝負できる位置ではなかった。

だがそれで4位は素晴らしい。よく戻ってきてくれた。

 

準決勝で競ったシンビンとメイテの順位は入れ替わった。

メイテは初の決勝と思えぬダイナミックな走りだったがゴール直前はリズムが僅かに狂ったか。

対してシンビンは最後まで自分の動き粘れた。t

 

実力は互角だと思うが違いは上体の安定感だろうか。

シンビンは地面に対して並行するようにほとんど頭が動かない。

メイテは動きも身体も大きい分僅かな状態のブレも大きく影響してしまうのか、やや後半浮いてしまったように見える。

 

ビコは準決勝に引き続き好スタートを切った。

だが、やはり並ばれたり先行されるともろい。

スタート自体力んでしまった面もあるように思うが。

 

 ブロメルは走るのさえ危うい状態だったようだがよくこのタイム、あの動きで走り切ったな。

自身の高速ピッチによるレース構成が体に染みついているということか。

 

 ボルトはこれで前人未到の3連覇を達成。

短距離でというか、フィールド種目以外では女子も含めて初めてなのか。

200mは記録も狙ってほしいところだが、安全運転するかもね。

それ勝てるとしたらそれはそれで凄い話だが。

 

 

 

~続く~