陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

Rioオリンピック 1

始まりましたね。

というか、既に4日目終了ですか。

 

それにしても今大会はこの時点で世界新が2つ。

しかも男子400mと女子10000mという破ることが不可能かと思われた記録において。

今日の女子3000障害でも更新されるのではないかとみていますが、記録面でも盛り上がっていますね。

 

さて、まずは男子100m。

久しぶりに予選の各組ごとに振り返りたいと思います。

 

M100m予選

1組-1.2m

K.ブラウン 10.13 Q

C.ウジャー 10.13 Q

M.ブレイシー 10.16 q

S.Ogunlewe 10.26

F.オグノデ 10.28

 

ブラウン、ウジャー共にスタートから中間までのつなぎがスムーズで他に並ぶ物もおらず、そのまま流れを殺さずに走り切れた。

 

ブレイシーはまずまずのスタートだが想像以上に抜け出せていなかったからかリズムを崩し、中間から動き切らぬままゴールを迎えてしまったように見える。

実力者オグノデはスタート直後態勢を崩し、そのまま立て直すことが出来なかった。

 

上位2人は流れをしっかり作った上で着順通過したのに対し、ブレイシーとオグノデは僅かなロスが大きな乱れにつながった。それは結果的にオリンピックのレベルの高さと厳しさを証明した1組らしいレースだったといえるのではないだろうか。

 

 

2組+0.8m

ガトリン 10.01 Q

D.ベイリー 10.20 Q

R.ソリロ 10.23 q

 

ガトリンンは昨年の世界陸上とは異なり、自身の走りのベース部分をしっかりと確認できた理想的な予選通過だったと思われる。

序盤でそこまで力を入れていなかったこともあると思うが、シャープさに欠けているのでは?とこの時点で思ったかもしれないが。

 

ベイリーは自身のリズムを崩すことなく通過したが、ソリロはいい流れを作りながらもの最後の僅かな油断で自滅した。

 

3組-0.1m

謝震業 10.08 Q

アシュミード 10.13 Q

H.タフティアン 10.17 q

コリンズ 10.18 q

 

これは驚いた。

謝は体幹、下半身が相当強いのか立ち上がりがやや早く見えるが、しっかりと腰が入っていてそのことによるロスはあまりなさそうだ。

また左右に大きくぶれるがそれによってダイナミックな動きを生み出し、軽やかながらも接地時に大きなパワーを与えているようにも見える。

中国はモスクワ世界陸上での張、北京世界陸上での蘇、そして今回の謝と毎回誰かが魅せてくれるな。

 

アシュミードはゴール手前で余裕のあるふりを見せたが結構きつかったのでは?

謝とは対照的に体が乗らず、パワーで強引に持って行ったように見えた。

 

タフティアンも身体がフィジカルの強さを生かして健闘した。

 

コリンズの動きはさすがだが、自身のスタイルとしてスタート直後にもう少し前へ出てないと厳しいか。

 

 

4組-0.5m

ディグラス 10.04 Q

ケンブリッジ 10.13 Q

蘇炳添 10.17 q

ビコ 10.19 q

マルティナ 10.22

 

正直この組に入った時点でケンブリッジ選手の通過はきついなと思ったがやってくれた。

ベストを出した今年の東日本実業団予選時のような軽快でリラックスした走りだった。

かなり自信があったのか、ゴール直前だけでなくその更に手前でも横を確認しており、余裕があった。練習で完璧な動きを何度も再現できていたのではないか。

 まさかビコ、蘇、マルティナ全員に先着するとは思わなかった。

3人の走り自体はそう悪くなかったと思うが、エンジンがかかりきっていなかったか。

といってもビコはなめていたと思うが。

 

それにしてもディグラスは強く、調整力には恐れ入る。

今季のこれまでのレースとは比べ物にならないくらいキレキレだった。

 

 

5組 +0.2m

メイテ 10.03 Q

ブロメル 10.13 Q

ルメートル 10.16 q

C.グリーン 10.20 q

 

メイテは走りが大きいが、脚の折りたたみ自体はコンパクトというのか、上体のパワーでオーバーストライドにならないよう上手くコントロールしているのではないか。

 

ブロメルはスタートの飛び出し自体は群を抜いているがやはり自身が言うように怪我の状態が悪く好調時のような回転は見られず序盤から抜けることもできなかった。

 

ルメートルも全盛期の力はないがさすが実力者。

しっかり合わせてきた。

 

6組-0.8m

ブレイク 10.11 Q

ハーベイ 10.14 Q

アルハルティ 10.22

 

ブレイクは動きにもやや緊張があったかもしれないが、自身の走りの地盤は構築できているように思う。

起き上がるまでにややロスがあったようにも見えたが、この組では大きな実力差があり問題なかった。

 

ハーベイはなんとなくディグラスに似た走りに見えるのだが、やや動きが流れてしまうか。

しかしこちらも実力面からしてこの組では問題なかった。

 

7組-0.4m

ボルト 10.07 Q

フッシャー 10.12 Q

ダサオル 10.18 q

桐生 10.23

S.ハート 10.28

トンプソン 10.29

 

常に大会前の心配は杞憂に終わるんだな、と改めて思わせた今大会のボルト初レース。

怪我の心配はなく、しっかり動いている。

30mまでを築けば後は流れだけで通過できる、そんな走りだった。

 

フィッシャーは見事なスタートを切り、その勢いを殺すことなく通過。

スタート直後に僅かながら態勢を崩したようにも見えるがパワー・回転力があるからか問題なかった。

 

桐生選手は課題のスタートでやや早くに立ち上がり過ぎてしまったか?

序盤で離されて、そのまま挽回できずに走力で劣るダサオルに追いつけず敗退。

しかし、その割には冷静でロスを最小限に抑えた走りだったと思う。

世間一般的には「予選で敗退かよ」と思われるのかもしれないが、決して桐生選手に力がないわけではなく、世界の準決勝進出ラインまたオリンピックの舞台がそれだけハイレベルだということだろう。 

 

8組-1.3m

シンビン 10.14 Q

山縣 10.20 Q

A.ブラウン 10.24

 

シンビンが好調を維持し、余裕をもって通過。

自身が勝負できることが確信となったラウンドになったのではないか。

 

そして山縣選手は抜群のスタートで見事着順通過。

伊東氏も言うように80mまでは100点だったと思う。

また結果的には1レーンというのもよかったか。

 

ブラウンはまずまず好スタートをきったが、山縣選手とは対照的に中間疾走へのつなぎが一旦中断してしまったかのようにスムーズさと、またパワーにも欠けた。

 

 

準決勝

1組+0.2m

ビコ 9.95 Q

メイテ 9.97 Q

シンビン 9.98 q

ハーベイ 10.03

アシュミード 10.05

ブレイシー 10.08

謝震業 10.11

タフティアン 10.23

 

ビコは予選と打って変わり見事な走り。

序盤で抜け出せれば敵はいないという自身の必勝パターンに持ち込めた。

とはいえ、リズムにやや乱れもありベスト時に比べると多少強引ではあったか。

それでファイナル進出をもぎ取れるんだからやはり実力者なのだが。

 

メイテとシンビンは予選の見事な走りをそのままに出力を上げて実力通りの通過。

お互いやや力んだと思うが勢いで潰せる位にノッていた。

アシュミードも上げてきたが今大会でベストな状態は作れなかったか。 

謝は予選のようなスムーズさがなく、序盤から中盤の走りをするかのように力み、焦ってしまった。

 

 

2組+0.2m

ボルト 9.86 Q

ディスラス 9.92 Q

ブロメル 10.01 q

ウジャー 10.01

山縣 10.05

コリンズ 10.12

グリーン 10.13

フィッシャー DQ

 

この時点で多くの人がボルトの優勝を確信したのでは?

久々に全盛期を思わせるようなダイナミックでしなやかな走りだった。

 

ディグラスも硬くはなったがボルトに中盤まで食らいついた時点で他を引き離しており、決勝進出を確実なものにした。

勝負どころと捉えていたのか結果的にはこの準決勝の走りが決勝への絶対的な自信につながったのではないかと思われる。

 

ウジャーは相変わらず終盤の粘りが素晴らしいが、上位二人に抑え込まれてしまったかのうようにブロメルに比べるとほんの僅かながらゴールまで動き切らなかったか。

 

山縣選手はお見事。

正直ここまで走れると思わなかった。

オリンピックの実績でいうなら飯島氏、朝原氏を超えて吉岡氏に次ぐ位置に来たのではないか。

 

中盤以降力んで大きく失速するのではないかと思っていたがむしろ冷静に走り切った。

準決勝もスタートは抜群だったが予選に比べて「突っ込み過ぎない」というのか、微妙なさじ加減でもってしてゆとりを持ち、中盤以降に備えた知性に溢れる走りだったように思う。

 

決勝進出に足りないのは何なんだろう。

パワーといわれればそれまでだが、まずは海外でのキャリアを多く積んでほしい。

というか海外でのレースをもっと見てみたい。

 

そしてコリンズ。

やはり厳しかったが予選からさらに仕上げつつ、自身の強みも垣間見せた大ベテランらしい味のあるレースだった。

 

3組±0m

ガトリン 9.94 Q

ブレイク 10.01 Q

ルメートル 10.07

蘇炳添 10.07

ブラウン 10.13

ダサオル 10.16

ケンブリッジ 10.17

ベイリー DNS

 

ガトリンは予選に続き着実でいながら圧倒的な走り。

ただやはり接地までにやや「間」を感じ、キレがないか。

 

ブレイクはガトリンと同走してやや乱れたか。

走力面で全く問題はなく、流れもしっかりできていたとは思うが。

 

落選したもののルメートルと蘇はさずが。

ルメートルはやはりフィジカルが強く、最後力を抜いたようにも見えるが一旦スピードに乗ると大きな動きと身体がゴールまで失速することなく運んでくれるというのか。

蘇のスタートも健在だった。

が、どちらも全盛期に比べしぶとさがなかった、またそういったものを支える調子ではなかったということか。

 

ケンブリッジは悪くなかったが、これまた伊東氏が言うようにガトリンに序盤から圧倒されて焦り、力んだか。

予選が出来過ぎだったようにも思える位、普通はこんなものなのだと思うが。

ただ、これからが本当に楽しみな選手。

トップクラスと空間で並べられるようになれば十分勝負できると思われる。

 

決勝はまた別に書きます。

 

 

~続く~