DLユージーン
久しぶりに男子短距離ネタ以外の話から。
今大会最も注目を浴びたのはW100mHを歴代2位の12.24(+0.7m)というビッグレコードで制したケンドラ・ハリソンでしょう。
これは驚いた。
ウトウトしながら見てましたが一気に目が醒める、強烈なレースでした。
この選手の走り自体を見たのが多分初めてで、レース前の印象は小柄な選手だな、パワーも感じないし、この選手が3台出したのかぁ、というのが正直な感想。
ただ、スタートした直後に度肝を抜かれた。
序盤から抜け出してあれよあれよとリードを奪い、ロリンズやストワーズら強豪を置き去りにして速報12.22でゴール
。
所謂走りの延長線上のハードリングというのか、とにかくナチュラルで無理がない。
小さな身体ながら全身をフルに使ったダイナミックな走り、、というかなんならハードルを置くことで動きがまとまっているようにすら見える。
それでいて体がハードルに向かって浮かび上がる直前などに上体のポジショニングでインターバルを微調整しているかのような繊細さ、器用さも垣間見える。
まだまだ試されていない部分も多いとは思うが、世界記録更新は数字が表すとおり可能だろう。
100mはガトリンが9.88(+2.6m)で優勝。
やはり現時点では昨年ほどのキレはないか。走行位置が右に左にと安定していないのもきになる。
ただ、明確に勝つことがやはりこの選手の力量。
パウエルが9.94で2位、ゲイが9.98、ロジャースが9.99と実力者が順当に上位を占めた。
ゲイはやや調子が上向いたかもしれないが、ブロメルもいることを考えると代表はギリギリといったところか。
そして下位には終わったが蘇はやはり凄いな。
400mはジェームスが44.22で優勝し、44.39で2位のメリットを退けた。
メリットが勝つのではないかと思っていたがいまひとつスピードに乗らず、体もやや重く見えた。
対するジェームスもそこまでの仕上がりではないだろうが、自分のリズムをしっかりと構築できたレースだっただろうか。
この選手はダメかなと思っても次のレース、または次のシーズンには持ち直してくるところがあるように思う。
そのあたりと踏まえた戦術的な駆け引きも今季は面白そうだ。
〜了〜