シーズンイン
国内のトップスプリンターがシーズンインしています。
中でも桐生選手は100mを10.08で走っただけでなく200mも20.39の自己ベストをマークして好調をアピール。
内容的には200mの方が余裕、というか走りにゆとりあったように見えます。
山縣選手は追い風参考で10.18。
ただ、こちらの方がまだまだ余裕を感じさせるものがありました。
今年は室内から好記録が続いており、ニサニブラウン選手と川上選手(屋外では桐生選手と同レースで10.24の自己新)が60mで6.54の日本新をマークしていますし、同じく室内で6.57をマークした多田選手も復調の兆しをみせています。
ここに小池選手や飯塚選手も参戦してきますし、ケンブリッジ選手も調子を上げてくるでしょう。
さらに犬塚選手も10.25の順大新をマークしていますし、高瀬選手も調子を戻しつつあるようなので、今期は2017年を凌ぐハイレベルな争いになるかもしれません。
〜了〜
全日本実業団2018
100m ±0m
山縣 10.01
桐生 10.22
川上 10.33
日本新を期待して現地観戦。
残念ながら記録更新はならなかったが、相変わらずのハイアベレージで山懸選手が優勝。
アジア大会の時より動きに余裕はあったと思うが、強いていうなら最後数メートルは僅かに間延びしただろうか。
それでも追い風なら9秒台は出ていたであろう走り。
勝負としても最初の1歩目で抜け出し、格の違いを見せた。
なおこの記録はサードベストとして日本最高タイ。
桐生選手は準決勝同様にスタートで出遅れた。序盤は腰もやや引け気味だったか本来のレースができなかったが後半の追い上げで最低限の見せ場は作ったと思う。
ちなみに今回は試合前にほとんど走らないという調整法を試みたようだが、うまくいなかったのかもしれない。
今季はあまりいいところがなかったが、そういった様々な試みはできたようなので、その経験から来年どのようなプランでくるかも楽しみ。
なお川上選手も3位争いの激戦を制する好走。
前半の貯金が大きかったと思うが、どちらかというと準決勝の追い上げる展開の方が動けていたと思う。
良し悪しは別だろうけども。
〜了〜
ダイヤモンドリーグ ブリュッセル
100m-0.3m
コールマン9.79
ベイカー9.93
ブレイク9.94
プレスコッド9.99
シンビン10.03
ロジャース10.16
ウジャー10.17
ヤング10.26
ベイカーが遅れたな、と気を取られていると、コールマンが飛び出し、あれよあれよと後続を突き放して圧勝。
今季最高、自己新、初の7台での勝利となった。
黒人選手は骨盤が前傾しスプリントに向いていると言われるが、コールマンはそのなかでもその長所がより秀でているように見える。
よくあれだけ突っ込むような上体で重心を移動させながらもしっかりと地面を捉えるこもができるものだなと。
競った時等の課題はあるだろうけども、今回も完璧なレースとは言えないだろうから、記録はまだ短縮してきそうだ。
また今季は怪我もあって勝ったり負けたりを繰り返しながら、1番重要なところでの勝負強さを証明したといえる。
ベイカーはリアクションタイムが0.2秒以上?もかかったようで、これはやってしまったなとおもったが、それでもよく2着を確保した。
焦っただろうけども、そこまで力んだ走りにも見えず、またタイムも悪くないので私は逆にすごいなと思った。
まあ負ければ意味ないが。
走り自体は安定しているが、ここ1番での勝負強さが課題か。
ブレイクは納得のいく走りではないだろうけども、最低限の結果は残せた。
改めて地力があることを証明はしたが、ここ以上に復調できるかどうか。
プレスコッドも悪い走りではなかったが、ここまで前半放されると厳しかった。
〜了〜
ダイヤモンドリーグチューリッヒ
200m -0.2m
ライルズ19.67
グリエフ19.98
リチャーズ20.04
ブラウン20.14
キニョネス20.34
ウィルソン20.41
アダムス20.51
ミッチェル・ブレイク20.53
ライルズは安定感がすごいな。
ここにきても疲れを見せず、平常運転で圧勝。
この選手に対抗するにはやはりスピードのある選手でないとなかなか厳しいだろうな。
来年は19秒5台を期待したい。
グリエフはヨーロッパ選手権で自己新をマークして乗り込んだが大きく放された。
前半で差をつけられると厳しかったが、19秒台にとどまり、2着をキープしたのはさすが。
リチャーズもグリエフ同様に昨年の世界陸上メダリストとして最低限の結果は残せたシーズンだったと思う。
そこには一歩及ばないがブラウンも今季は最後まで安定していた。
400m
カーリー44.80
ストルゥーザー44.93
ハドソン・スミス44.95
デデウォ45.18
テベ45.41
サントス46.41
コンラディ47.37
ガーディナーDNF
ガーディナーが棄権したのは残念。
そして今季のレベルにしては記録も良くなかったが、最後まで自身の走りを貫けたカーリーがツアーチャンピオンに。
全米以外での初のメジャータイトル制覇といえるか。
ストゥルーザーも後方待機でよくレースを見ていた。
スミス、デデウォといった上位常連を崩して2着に入ったのは価値があるだろう。
来年はバンニーケルク、ノーマン、ブルームフィールド、マクワラらも出てくるだろうから層の厚さでいっても非常に楽しみな種目。
しかしバンニーケルクは大丈夫かな。
〜了〜
アジア大会2018 その2
200m +0.7m
小池20.23
楊20.23
ヤクーブ20.55
金20.59
朴20.61
飯塚20.68
アルサディ20.81
別21.07
上位2人は素晴らしい走りで、直線での並走は見応えがあった。
小池選手も楊も一歩も引かぬ意地が見えたが、動き自体は極力ロスを防ぎ、崩れないよう自身の走りをぶつけ合った名勝負となった。
ほぼ互角だと思うが、しいていうなら小池選手はより体幹が強く、その土台をもってしてピッチが上回った分だけ僅かに先へ進むことができのかもしれない。
ニュースターの誕生だろう。
そして2人共、世界の舞台でファイナルを狙ってほしい。
ヤクーブは序盤で上位2人に大きくリードされたこともあってか、走りも安定しなかったが、健闘した韓国勢がやや自滅する中、崩れそうになりながらもうまく動きを処理してメダル獲得。
地力があるんだな。
飯塚選手はキレがなかった。
ピーキングの問題なのか、とも思うが後述のマイルではなかなか好走しているので、ひょっとしたらロングとの掛け持ちがスピードに影響したということも考えられるだろうか。
400mR
日本38.16
インドネシア38.77
中国38.89
中国が謝を欠いたこともあって日本が圧勝。
世界の情勢を考えても37秒台、そして大会記録は狙っていたと思うが、まずは勝ててよかった。
それにしても山縣選手は強い。ほぼここで勝負が決まっただろうか。
かそくそうということもあるが、ケンブリッジ選手も100mの時よりキレのある走りだった。
1600mR
カタール3.00.56
インド3.01.85
日本3.01.94
というくらいに1、4走が強かった。
特にサンバは1人だけ別次元の走りを見せ、この段階で優勝をを決めただろう。
インドのメンバーも充実していたので、日本の銅メダルは妥当なところだと思うが、ここ数年の中ではベストに近い走りだったのではないか。
小池選手、飯塚選手にはタフなスケジュールだったかもしれないが。
ちなみに、男女マイルリレーが実施されるということを恥ずかしながら全く知りませんでした。
そういや、東京五輪にも採用されるんだったか。
どういうスタンスで選手を揃えるのかと、スケジュールがかだいになりそうですね。
〜了〜
アジア大会2018 その1
100m +0.8m
蘇9.92
オグノデ10.00
山縣10.00
モハメド10.10
楊10.17
タフティアン10.19
ゾーリ10.20
金10.26
想像以上にハイレベルなメダル争いとなった。
蘇は予選から次元の違いを見せていたが、やはり強かった。
スプリント力も抜けている上に、あれだけ正確な動きをされたらなかなか勝てないな。
表情を見ると力んでいるように見えるが、足の運びはスムーズで柔らかい。
ベストな高さに引き上げられ、ベストなタイミングで振り下ろされ、ベストな位置で地面を捉える。
その動きはリラックスされた中で行われているが、接地の一瞬は物凄いパワーを生んでいる。
ここ数年はレースごとにグレードアップしているのではないだろうか。
山縣選手は9秒台で銀かと思われたが惜しくも届かず銅メダル。
オグノデが僅かに上回った。
本人も言っていたように今できるベストな走りだっただろうし、過去の国際舞台の中でも最高の内容だったと思われる。
しかも今回は予選から修正を加えて決勝まで上げてきたことが素晴らしい。
メダルの差はオグノデに比べて僅かなポジショニングの問題だろうか。
放送カメラの位置もあるかもしれないが、いつもよりほんの少しだけ、上体、頭の位置が前に来ていたように思う。おそらく1度とかそのくらいのレベルだろうけども、身体が完璧に乗り込みきっていなかったようにも見える。
といっても走り自体が乱れたわけではなく、むしろ最後までよく動きを制御できたと思うが。
オグノデは勢いもあっただろうけども、ダイナミックなだけでなく、山縣選手よりも一歩一歩体重を乗せていく冷静な走りだっただろうか。
最後まで自身のストライドを殺すことなく、蘇を詰めれるところまで詰めた。
この選手がここまでくるとはおそらく誰も思っていなかっただろうけども、今回のレースを盛り上げた立役者となった。
モハメドとタフティアンはメダル候補とみていたが、モハメドはスタートでやや体勢を崩したのか、上下動が激しくロスを生んで崩れてしまった。
それでも10.10だから地力はある。
またタフティアンはスタートで出遅れたものの、中盤よく粘ったがそれで力を使い果たしてしまったか。
そしてそんな2人の間に予選で最高の走りを見せた楊が割り込む充実ぶり。
更に、謝も出場していないなかでのこの結果だからアジアも上位層はレベルが上がっている。
そして、メダルラインは10.00である。
3以内だけのレベルで言えば全米選手権やジャマイカ選手権で表彰台に登るくらいにハイレベル、というのは言い過ぎだが、それに近づいてきた結果だったと思う。
ただ、現実的に見ればこれだけ圧勝した蘇が世界のファイナルでどこまで戦えるかどうか、といったところだろう。
しかし課題はあれるけども、ファイナルを狙える最低限の基準ラインにいることを山縣選手は改めて証明したと思われる。
なおケンブリッジ選手は自分の走りができずに決勝に進めなかったが、大会前のランキングと今回のファイナリストを見れば、「まさかの落選」とはいえないだろう。
少なくとも、前半で抜け出せないとアジアでもラウンドを進めることは出来ないということか。
400m
ハロウン44.89
ヤヒヤ45.69
ハミス45.70
ラジブ45.84
ウォルシュ45.89
リトビン46.17
アバス46.41
クマラゲ46.49
ハロウンは圧勝ではあるがそこまでの余裕は感じなかった。
ダイヤモンドリーグを見据えての今の状態なのかもしれないが、まあこのメンバーで1秒近い大差をつければ上出来か。
ウォルシュ選手は目指しているところはもっと上だろうけども、徐々に国際大会での位置を上げていっている。
決勝もよく粘ったが、準決勝で着順通過ラインの2着を後半逆転して勝ち取った走りもなかなか見応えがあった。
レースの流れに乗って、その中で最大限自身の走りをするということにおいては今大会いずれのレースも成功したのではないか(そんなプランかどうかは知らないが)。
メダルを獲得した2人は余力の差だろうか。
ハミスはよく追い上げたが、そこまでが放され過ぎた。
対してヤヒヤは攻めてはいるが、柔軟性があり、一歩の負担が他の選手より少ないのではないか。
結果、安定したイーブンペースを貫き、2着を確保した。
〜続く〜
ダイヤモンドリーグ バーミンガム
100m -0.5m
コールマン9.94
プレスコッド9.94
ライルズ9.98
ブレイク9.99
ヒューズ10.05
シンビン10.09
トレイシー10.15
ウジャー10.19
ロジャース10.22
コールマンは自身の型に戻りつつあるが、まだバランスは悪いか。
それでも前半の貯金で逃げ切るパワーがあり、その基盤をもってしての勝負強さをここ数戦で証明している。
今期好調のプレスコッドは僅差の2位。後半の追い上げは凄まじく、より磨きがかかってきたか。
ただ、前半でもう少し射程圏には入っておきたいところ。
追い上げでいえばライルズも相変わらず素晴らしい。ここまで連戦で安定して走れる選手はなかなかいないだろう。現に9秒台が続いている。
ブレイクはなかなかこのポジョンからは抜け出せない。
全盛期のキレが取り戻すのは難しい事だと思うが、それでもこの位置に止まれているのはさすが。
私はヒューズの優勝を予想していたが、上位グループからは離された。
最後は諦めたようだが、今ひとつ勝負強いのかどうかが分かりづらい選手。
前半出られると、ペースが掴みきれないのか、メンタル面のムラがあるタイプかもしれない。
400m
カーリー45.54
ハドソン・スミス45.59
デデウォ45.62
テイラー45.78
サントス45.81
最後は大接戦となったが、カーリーが僅かに抜け出した。省エネな走法というか、最も丁寧な走りが余力を生んだだろうか。
それにしてもテイラーは凄かった。
前半から飛ばしに飛ばし、直線でトップ集団に並ばれた時には「これは潰れて脚が止まるな」と思いきや、失速を最大限に防ぎ、粘り切っての4位に入り、サントスを振り切った。
これは本職での助走がより安定するだろうな。
〜了〜