陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

アジア大会2018 その2

200m +0.7m

小池20.23

楊20.23

ヤクーブ20.55

金20.59

朴20.61

飯塚20.68

アルサディ20.81

別21.07

 

上位2人は素晴らしい走りで、直線での並走は見応えがあった。

小池選手も楊も一歩も引かぬ意地が見えたが、動き自体は極力ロスを防ぎ、崩れないよう自身の走りをぶつけ合った名勝負となった。

 

ほぼ互角だと思うが、しいていうなら小池選手はより体幹が強く、その土台をもってしてピッチが上回った分だけ僅かに先へ進むことができのかもしれない。

ニュースターの誕生だろう。

そして2人共、世界の舞台でファイナルを狙ってほしい。

 

ヤクーブは序盤で上位2人に大きくリードされたこともあってか、走りも安定しなかったが、健闘した韓国勢がやや自滅する中、崩れそうになりながらもうまく動きを処理してメダル獲得。

地力があるんだな。

 

飯塚選手はキレがなかった。

ピーキングの問題なのか、とも思うが後述のマイルではなかなか好走しているので、ひょっとしたらロングとの掛け持ちがスピードに影響したということも考えられるだろうか。

 

 

400mR

日本38.16

インドネシア38.77

中国38.89

 

中国が謝を欠いたこともあって日本が圧勝。

世界の情勢を考えても37秒台、そして大会記録は狙っていたと思うが、まずは勝ててよかった。

それにしても山縣選手は強い。ほぼここで勝負が決まっただろうか。

かそくそうということもあるが、ケンブリッジ選手も100mの時よりキレのある走りだった。

 

 

1600mR

カタール3.00.56

インド3.01.85

日本3.01.94

 

今のカタールのメンバーにはどうあがいても勝てなかった。

というくらいに1、4走が強かった。

特にサンバは1人だけ別次元の走りを見せ、この段階で優勝をを決めただろう。

 

インドのメンバーも充実していたので、日本の銅メダルは妥当なところだと思うが、ここ数年の中ではベストに近い走りだったのではないか。

小池選手、飯塚選手にはタフなスケジュールだったかもしれないが。

 

 

ちなみに、男女マイルリレーが実施されるということを恥ずかしながら全く知りませんでした。

そういや、東京五輪にも採用されるんだったか。

どういうスタンスで選手を揃えるのかと、スケジュールがかだいになりそうですね。

 

 

〜了〜

 

アジア大会2018 その1

100m +0.8m

蘇9.92

オグノデ10.00

山縣10.00

ハメド10.10

楊10.17

タフティアン10.19

ゾーリ10.20

金10.26

 

想像以上にハイレベルなメダル争いとなった。

 

蘇は予選から次元の違いを見せていたが、やはり強かった。

スプリント力も抜けている上に、あれだけ正確な動きをされたらなかなか勝てないな。

表情を見ると力んでいるように見えるが、足の運びはスムーズで柔らかい。

ベストな高さに引き上げられ、ベストなタイミングで振り下ろされ、ベストな位置で地面を捉える。

その動きはリラックスされた中で行われているが、接地の一瞬は物凄いパワーを生んでいる。

ここ数年はレースごとにグレードアップしているのではないだろうか。

 

山縣選手は9秒台で銀かと思われたが惜しくも届かず銅メダル。

オグノデが僅かに上回った。

本人も言っていたように今できるベストな走りだっただろうし、過去の国際舞台の中でも最高の内容だったと思われる。

しかも今回は予選から修正を加えて決勝まで上げてきたことが素晴らしい。

 

メダルの差はオグノデに比べて僅かなポジショニングの問題だろうか。

放送カメラの位置もあるかもしれないが、いつもよりほんの少しだけ、上体、頭の位置が前に来ていたように思う。おそらく1度とかそのくらいのレベルだろうけども、身体が完璧に乗り込みきっていなかったようにも見える。

といっても走り自体が乱れたわけではなく、むしろ最後までよく動きを制御できたと思うが。

 

オグノデは勢いもあっただろうけども、ダイナミックなだけでなく、山縣選手よりも一歩一歩体重を乗せていく冷静な走りだっただろうか。

最後まで自身のストライドを殺すことなく、蘇を詰めれるところまで詰めた。

この選手がここまでくるとはおそらく誰も思っていなかっただろうけども、今回のレースを盛り上げた立役者となった。

 

ハメドとタフティアンはメダル候補とみていたが、モハメドはスタートでやや体勢を崩したのか、上下動が激しくロスを生んで崩れてしまった。

それでも10.10だから地力はある。

またタフティアンはスタートで出遅れたものの、中盤よく粘ったがそれで力を使い果たしてしまったか。

 

そしてそんな2人の間に予選で最高の走りを見せた楊が割り込む充実ぶり。

更に、謝も出場していないなかでのこの結果だからアジアも上位層はレベルが上がっている。

 

そして、メダルラインは10.00である。

3以内だけのレベルで言えば全米選手権やジャマイカ選手権で表彰台に登るくらいにハイレベル、というのは言い過ぎだが、それに近づいてきた結果だったと思う。

 

ただ、現実的に見ればこれだけ圧勝した蘇が世界のファイナルでどこまで戦えるかどうか、といったところだろう。

しかし課題はあれるけども、ファイナルを狙える最低限の基準ラインにいることを山縣選手は改めて証明したと思われる。

 

なおケンブリッジ選手は自分の走りができずに決勝に進めなかったが、大会前のランキングと今回のファイナリストを見れば、「まさかの落選」とはいえないだろう。

少なくとも、前半で抜け出せないとアジアでもラウンドを進めることは出来ないということか。

 

 

 

400m

ハロウン44.89

ヤヒヤ45.69

ハミス45.70

ラジブ45.84

ウォルシュ45.89

リトビン46.17

アバス46.41

クマラゲ46.49

 

ハロウンは圧勝ではあるがそこまでの余裕は感じなかった。

ダイヤモンドリーグを見据えての今の状態なのかもしれないが、まあこのメンバーで1秒近い大差をつければ上出来か。

 

ウォルシュ選手は目指しているところはもっと上だろうけども、徐々に国際大会での位置を上げていっている。

決勝もよく粘ったが、準決勝で着順通過ラインの2着を後半逆転して勝ち取った走りもなかなか見応えがあった。

レースの流れに乗って、その中で最大限自身の走りをするということにおいては今大会いずれのレースも成功したのではないか(そんなプランかどうかは知らないが)。

 

メダルを獲得した2人は余力の差だろうか。

ハミスはよく追い上げたが、そこまでが放され過ぎた。

対してヤヒヤは攻めてはいるが、柔軟性があり、一歩の負担が他の選手より少ないのではないか。

結果、安定したイーブンペースを貫き、2着を確保した。

 

 

〜続く〜

ダイヤモンドリーグ バーミンガム

100m -0.5m

コールマン9.94

プレスコッド9.94

ライルズ9.98

ブレイク9.99

ヒューズ10.05

シンビン10.09

トレイシー10.15

ウジャー10.19

ロジャース10.22

 

コールマンは自身の型に戻りつつあるが、まだバランスは悪いか。

それでも前半の貯金で逃げ切るパワーがあり、その基盤をもってしての勝負強さをここ数戦で証明している。

 

今期好調のプレスコッドは僅差の2位。後半の追い上げは凄まじく、より磨きがかかってきたか。

ただ、前半でもう少し射程圏には入っておきたいところ。

 

追い上げでいえばライルズも相変わらず素晴らしい。ここまで連戦で安定して走れる選手はなかなかいないだろう。現に9秒台が続いている。

 

ブレイクはなかなかこのポジョンからは抜け出せない。

全盛期のキレが取り戻すのは難しい事だと思うが、それでもこの位置に止まれているのはさすが。

 

 

私はヒューズの優勝を予想していたが、上位グループからは離された。

最後は諦めたようだが、今ひとつ勝負強いのかどうかが分かりづらい選手。

前半出られると、ペースが掴みきれないのか、メンタル面のムラがあるタイプかもしれない。

 

 

400m

カーリー45.54

ハドソン・スミス45.59

デデウォ45.62

テイラー45.78

サントス45.81

 

最後は大接戦となったが、カーリーが僅かに抜け出した。省エネな走法というか、最も丁寧な走りが余力を生んだだろうか。

 

それにしてもテイラーは凄かった。

前半から飛ばしに飛ばし、直線でトップ集団に並ばれた時には「これは潰れて脚が止まるな」と思いきや、失速を最大限に防ぎ、粘り切っての4位に入り、サントスを振り切った。

これは本職での助走がより安定するだろうな。

 

〜了〜

 

ダイヤモンドリーグ ロンドン

100m +0.1m

イカー9.90

ヒューズ9.93

シンビン9.94

ブレイク9.95

ロジャース9.98

トレイシー9.98

ヤング10.01

謝10.01

バレル10.07

 

イカーは最初から最後まで柔軟性を損なわず、完全に自分のペースでレースを運べたのではないか。

スタートした段階で勝利を確信したかのような走りだった。

 

ヒューズは途中まではいい流れだったが、終盤でやや詰まったか。

それでも好調なだけあって2位は確保。

記録も安定している。

 

離されはしたが、謝も大健闘。

ここまで粘れるのは200mが得意だからか。やはりアジア選手としては抜けている。

 

それにしてもキャメロン・バレルは父リロイに似てますね。

 

200m +0.1m

ブルームフィールド19.81

エドワード20.01

キニョネス20.13

ミッチェル・ブレイク20.21

ジェミリ20.30

マルティナ20.32

ティティ20.44

小池20.56

J・ライルズ20.95

 

ブルームフィールドは400mに続いて200mでも好記録。

マイケル・ジョンソンを鋭くした走りとでもいうのか、動きはコンパクトだが、ピッチでガンガン攻めるというよりかは可動域が広く、余裕がある中でシャープに接地している印象を受ける。

 

エドワードとキニョネスにここまでの大差をつけるのだからこの種目の方が狙えるかもしれない。

 

小池選手は直線で力尽きたがよく粘ってまずまずの記録。

今後が楽しみな内容だったが、まずはアジア大会の活躍が期待される。

 

400m

ハロウン44.07

デデウォ44.43

ジェームス44.50

テベ44.54

サンバ44.62

ハドソン・スミス44.63

アレン44.72

 

ハロウンは前戦の反省点を生かしてか、序盤からある程度の位置につけ、後半上手くまとめた。

43秒台というか、マスラヒのアジア記録を破ってほしい。

 

ジェームスは久々に元気な姿を見せた。

全盛期の力を戻せるかは分からないが、悪くない内容だっただろう。

 

そしてサンバも見事な走りを見せた。

本職の記録から考えれば驚く記録ではないかもしれないが、やはり走力が素晴らしい。

吸い付くような接地というのか、軸がぶれずに地面をしっかり捉える走りだからこそ、ハードリング安定し、ロスも少ないんだろうな。

 

〜了〜

 

 

ダイヤモンドリーグ モナコ

200m +0.9m

ライルズ19.65

グリエフ19.99

キニョネス20.03

エドワード20.15

リチャーズ20.16

ブラウン20.17

アダムス20.65

ウェッブ20.77

 

ライルズは加速が凄まじい上に、このメンバーでは前半から抜け出せるだけに完勝だった。

解説の石塚氏も言っておられたが、「点」で接地しているだけに無駄がない。

特に200mにおいてはどこを切り取っても無理をせずともスムーズに加速している印象を受けるので、全盛期のボルトやブレイクみたいなタイプでないとなかなかこの選手に勝つのは難しいかもしれない。

 

グリエフも好調を維持して19秒台に収まったが、やはりここまでライルズに先行させると厳しい。それでも流石の安定感だが。

 

キニョネスは前半大きく遅れ、インのブラウンにスタート直後から並ばれつつも、よくここまで粘れるなと思う。

トップスプリンターはこのあたりの臨機応変なレース構築力が飛び抜けている。

 

エドワードとリチャーズも上位争いからは離れたが、まずまずのポジションで、全体的にレベルの高いメンバーによるレースだった。

 

 

それにしても今大会、ミラーの48秒台とチェプコエチの世界新には驚いた。

 

ミラーは数日前の200mでも凄まじいキレ味を見せていたので、好記録を期待していたが、とうとう大台に突入した。

ペレクの記録あたりを狙って欲しいが、厳しいだろうか。

 

 

〜了〜

ダイヤモンドリーグ ラバト

100m -0.4m

コールマン9.98

イカー9.98

ライルズ9.99

ロジャース10.01

プレスコッド10.09

ウジャー10.19

桐生10.20

シセ10.22

ハメド10.30

 

今季、室内60mで世界新をマークしながら屋外で苦戦していたコールマンがここにきて勝利。

いつも程に前半から飛び出たわけではなく、後半もややもがいたように思うが、反対に前半ある程度並んでいたから、そこまで終盤乱れなかったのかもしれない。

 

イカーは混戦に揉まれると勝てないイメージがあるが、それでも相変わらずの安定感。よほど体幹の強さと走りがマッチしているのではないか。

 

ライルズはとんでもない追い上げを見せたが、前半遅れ過ぎた。が、ここまでの追い上げはなかなか見れないので個人的にはおもしろかった。

 

そして、ロジャースが粘った。

今季は9.89を出しているし、さすがは一戦で戦い続けるベテラン。

 

桐生選手は記録も順位も妥当なところだろうか。

というか今季自己ベストで上回るシセとモハメドに先着し、ウジャーとも接戦だったので悪くはないと思う。

もちろん狙うところはそれ以上だと思うが、上位に離されてもそれほど大崩れはしていないし、上を目指せるポジションであることは再認識できたのではないか。

海外レースで磨きをかけていって欲しい。

 

 

 

 

400m

ブルームフィールド44.33

ハロウン44.69

ハドソンスミス44.79

サントス44.80

デデウォ44.82

チェリー45.40

 

今季43秒台をマークしているブルームフィールドが圧勝。

身体は大きいが、前半は腕振りもコンパクトにまとめてロスの少ない走りを展開し、器用な印象を受けた。

おそらく大きく乱れることはないのではないか。

加えてスピードもあるのでこれから楽しみな選手。

 

ハロウンはさすがに抑え過ぎたがそれでも2着に入るのはさすが。だが、この結果は今後のレースパターンを悩ませるかも。

 

サントスも久々にらしさをみせてくれた。

 

 

〜了〜

ダイヤモンドリーグ ローザンヌ

200m +0.4m

ライルズ 19.69

ノーマン19.88

キニョネス20.08

ベンジャミン20.16

オリヴェイラ20.33

ヤング20.43

ウィルソン20.65

エドワード20.86

 

意外にもノーマンが前半をリード。

しかし上半身に力が入り過ぎたか、いつものような柔軟性が損なわれたように思う。

直線に入ってからは伸びに欠け、ライルズが一気に巻き返して圧勝。

 

ライルズはスピードに乗れば誰も止められないと言わんばかりの加速力があり、一歩の推進力が凄まじい。

 

しかしノーマンも自己記録に迫る好記録。100mでも9秒台が狙えるのではないかと思うくらいにスピードがあることは証明できた。

 

ベンジャミンも前戦に比べて力んだように見えるが、それでもこのタイムなので400mHの選手としてはやはりスピードが飛び抜けている。

 

〜了〜