陸上競技 男子短距離〜観戦記〜

主に男子短距離の観戦記&雑感などを勝手に書いているブログです

ゴールデングランプリ大阪

100m -0.7m

ガトリン 10.06

山懸 10.13

ヤング 10.13

桐生 10.17

ケンブリッジ10.19

多田 10.32

宮本 10.34

金 10.35

 

ガトリンはこの数日でしっかり調子を上げてきた。

まだまだ本調子には遠いだろうけども、序盤で奪ったリードを出力の差で更に広げる冷静さはさすが。

 

山懸選手は中盤まで勝つのではないかと思うくらいに良かった。まだ調子は上がっていくだろうけども、9秒台は時間の問題か。

またこのレースにおいてはヤングに勝ったことが大きい。

 

桐生選手はやはり先行されるとなかなか巻き返せないが、それでも今回はその中で上手くまとめたのではないかと思う。

加速がうまくいけば昨年以上のパフォーマンスはできそうではある。

 

ケンブリッジ選手も昨年より動きが安定してきたようにみえるが、多田選手は少し心配なところ。

身体が少し小さくなったようにすら思えるが、調整の問題なのか。

 

 

 

200m +0.9m

マクワラ 19.96

謝 20.16

デュークス 20.32

藤光 20.61

カーネス 20.65

原 20.65

山下 20.72

飯塚 20.75

ローソン 21.02

 

マクワラはなんと19秒台をマーク。

スタートは出遅れ、身体の起き上がりも早かったように思えるが、この選手はトップスピードにもっていくのが速いんだろうな。

反面、対応力にはやや課題があるとみているが、この日のマクワラを止めれる選手はいなかった。

 

だが謝も自己新の好レース。

おそらくコーナーを最もスムーズに出れたのではないか。一見横にブレた走りにも見えるが、身体が柔らかく推進力を逃さず、粘りもある。

というかプロセスがしっかりしているから粘れると言うべきか。

将来的には蘇よりも有望な選手かもしれない。

 

日本勢はそれほど差がなかったが、1番丁寧に走れた藤光選手がやや抜けた印象。

飯塚選手はまだレースを構築できていないようだが、調子自体はかなり良さそうに見えた。

 

また原選手は1レーンでなければ日本勢トップだったかもしれない。

 

 

 

なお、今大会はリレーも実施され、日本チームはリオ五輪メンバーで挑むというなかなかな粋な計らい。

そしてそんな日本Aチームが他を寄せ付けずに勝ったが、優勝タイムの37秒85は驚いた。

 

全員よかったと思うが、結果的に1走にガトリンと蘇が入り、山懸選手がそれに対して引けを取らなかったことが基盤となり、そこから飯塚選手が圧倒する流れを確立させたのが大きいのではないかと思う。

 

ちなみにこれは日本チームの国内最高記録となるが、前国内最高記録は同じスタジアムで出された大阪世界陸上決勝時の記録。

 

あれから11年も経つんだな。

 

 

〜了〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤモンドリーグ 上海

100m -0.5m

 

プレスコッド 10.04

蘇 10.05

謝 10.17

ウジャー 10.18

ヤング 10.18

グリエフ 10.20

ガトリン 10.20

ディグラス 10.25

桐生 10.26

 

蘇の勝ちかと思われたが、最後にプレスコッドがかわした。

さすがはファイナリスト。

 

蘇は終始他の選手を圧倒したが、最後はややタイミングがズレたか。

それでも素晴らしい結果。

 

9秒8台も狙えるのではないかと思うが、シーズン序盤とはいえこのメンツでここまでレースを作り上げられることがすごい。

 

プレスコッドは少し出遅れたが最後まで冷静だった。接地ポイントが正確なんだろうな。

しかも今回は序盤で大きくリードされながらも自身の走りを崩すことがなかったので、昨年までより勝負強くなったのかもしれない。

 

さらに中国勢は謝も好成績。

200mも得意なだけあって粘り強い。

また体幹も相当に強いのではないか。

 

中国勢の充実ぶりにより今年のアジア大会は楽しみな限りです。

 

桐生選手は本調子ではない中では健闘したのかもしれないが、調子が上がった時に同じようなメンツで異なるレース展開を披露できるのかどうか。

加速段階においてスムーズさに欠けるように見えたので、もう少し序盤で出ておかないと厳しいのもしれない。

 

けどまあ昨年のピーキングの失敗を踏まえて淡々とこなしているようなので、結構期待している。

 

ガトリンの結果は昨年と同様にスロースタートなだけなのか、あるいは衰えなのかわからない。

まあ衰えてない方がおかしいわけだが。

 

 

400m

ガーディナー 43.99

マクワラ 44.23

ハロウン 44.51

カーリー 44.71

テイラー 45.24

 

ガーディナーがドーハ大会に続いて43秒台で勝利。勝ちパターンが定着してきているのか今回もスムーズなレース運びだった。

シーズンを進めるにつれガス欠しないかが心配ではあるが。

 

マクワラは前回よりも仕上げてきた印象。

ガーディナーを射程圏に捉えた感覚は得たと思うので、次のレースに期待。

 

驚いたのはテイラーが参戦したこと。

スタートリストを見て無意識にとっくに引退したアンジェロ・テイラーが浮かんでしまう位ににピンとこなかったが、持ち前の走力を今回のような本格的な400mレースの中でも発揮できることを証明した。

 

 

〜了〜

 

DLドーハ

久しぶりの更新となりましたが、開幕したダイヤモンドリーグ初戦のドーハ大会についてです。

 

200m +1.3m

ライルズ19.83

リチャーズ19.99

グリエフ20.11

ブラウン20.18

ミッチェル・ブレイク20.37

ディグラス20.46

 

昨年ツアーチャンピオンのライルズが優勝。

世界陸上覇者のグリエフは左右のバランスが悪くスピードを維持できず、同銅メダリストのリチャーズもまだそこまでのキレはない中で、シーズン序盤にも関わらずそれなりに仕上がっているライルズが抜け出した形だろうか。

 

ややコーナーで外に振られているようにも見えるのでさらに記録を伸ばしそうではある。

ただリチャーズも今回の走りで19秒台はさすが。次戦以降の調子次第で順位はひっくり返るかもしれない。

 

ディクラスはまだまだ本調子ではないのか。

意外とブラウンが健闘した。

 

 

400m

ガーディナー43.87

ハロウン44.50

マクワラ44.92

 

ガーディナーがいきなり自己新。

といっても200mでも好記録を出していたので不思議ではないが。

 

それにしても素晴らしい走りだった。

マクワラも自己ベスト時のスピードでいえばガーディナーに負けていないが、そのスピードを操る能力においてはガーディナーの方が長けているといえるだろうか。

走りに無駄がなく、ナチュラルな動きで自身の身体をトラック一周分運んだとでもいうのか。

ファンニーケルクが離脱しているのが残念でならない。

 

ハロウンはガーディナーに比べれば強引な走りだったが、まずまずの記録で昨年の世界陸上メダリストとして力を発揮した。

この選手のパワーがもっと効率的な動きになるとすごい記録を出すかもしれない。

 

そう単純ではないからおもしろいんだけども。

 

 

〜了〜

 

 

 

2017男子短距離種目 勝手にMVP

海外

 

【各種目MVP】

100m

ガトリン

 

200m

グリエフ

 

400m

ファンニーケルク

 

まあ単純に世界陸上を制した選手になりました。それを超えるパフォーマンスもなかったので。

 

【短距離総合MVP】

ファンニーケルク

 

世界陸上の200mでも銀メダルを獲得したファンニーケルク。

また100mで9.94をマークしたことも考慮して。

 

  

【2017年 ベストレース(個人的にもっとも面白かったレース)】

 

世界陸上100決勝

 

とてつもないブーイングの中で制したとか、ボルトに勝ったとか、そんなドラマチックな面はさておいても、やはり上記三者の中でガトリンのレースは1番完成度が高く、見応えがありました。

 

同じ世界陸上では記録は低調でしたが、ファンニーケルク、グリエフ、リチャーズ、マクワラらなかなか個性的なメンバーが揃った200mの争いも面白かったですね。

 

世界陸上以外ではディグラスが追い参ながら9.69をマークした走りや、ジャマイカ選手権のブレイクの走りも印象に残りました。

 

 

国内

 

【各種目MVP】

100m

サニブラウン選手

 

日本選手権のすべてのレース、特に決勝が素晴らしかったこと。そして世界陸上の予選において自己タイで一着通過したことでMVP。

 

9秒台を出したことと今季アベレージを考えれば桐生選手も候補にあがりますが、内容的にはやはりサニブラウン選手が上回っているか。

 

 

 

200m

サニブラウン選手

 

こちらも世界陸上で決勝に進出したので 文句なしのMVP。史上最年少の同種目ファイナリストという事実もさることながら、世界の予選から準決勝において勝負を賭けた切り替えが10代で出来たことが凄い。

 

400m

北川選手

 

世界レベルで活躍した選手は残念ながらいませんでしたので、日本選手権を制した北川選手としました。

ウォルシュ選手でもいいのかもしれませんが、こちらもこれといって突出した結果がなかったので。

 

 

【短距離総合MVP】

サニブラウン選手

 

上記内容から。

 

 

【2017ベストレース】

世界陸上予選 サニブラウン選手

 

日本選手権決勝のレースでもいいのですが、難易度面も考えてこのレース。

また衝撃度で言えば日本選手権準決勝でサニブラウン選手が多田選手を圧倒したレースもなかなか。
正直、あれだけ絶好調だった多田選手が決勝で何をどう修正しようが「こりゃ勝てないだろうな」と思った走りでした。

歴史的な意味ではやはり桐生選手の日本新も素晴らしかったですが、負けじと良かったのが山縣選手の全日本実業団決勝の走りですね。

 

それにしても今季の日本の100mは過去最高に面白かった。

サニブラウン選手、ケンブリッジ選手、多田選手が世界陸上で準決勝に進出し、その世界陸上に出られなかった桐生選手と山縣選手がランキングでワンツー。しかも歴代1位と2位の記録で。

更に飯塚選手も10.08をマークして0台に突入し、原選手も10.13を記録。

銅メダルメンバーの藤光選手も自己新をマークするなど話題に事欠きませんでした。

 

今後9秒台がどんどん出るのではないかという見方もありますが、ここまで大激戦になることは今後ないかもしれませんね。

 

 

 

〜了〜

 

 

 

桐生選手が日本人初の9秒台を記録

先日行われた日本インカレで桐生選手が9.98の日本新をマーク。

とうとう日本選手初による9秒台がマークされました。

 

初めて日本人による9秒台の可能性を感じたのは90年代後半の朝原氏、そして伊東氏でした。

そこから約20年。正直ここまでかかるとは思いませんでした。誰がいつ出してもおかしくない状態が時代、世代を越えて持ち越され続けました。

 

ですが単に9秒台をマークするということ以上に価値のある、またそれに並ぶレースはこれまでにいくつもあったと思います。

直近で言えばサニブラウン選手の今年の日本選手権決勝や世界陸上予選の走り、昨年のオリンピックでは山縣選手の予選と準決勝、ケンブリッジ選手の予選の走り、遡れば朝原選手が世界大会以外の国際大会においても世界のトップたちと渡り合ったレースなどがそれにあたるのではないでしょうか。

 

要はどういったレースでどんな選手と走ったのか、そこでどこまで戦えたのかといった点においての価値です。

 

そういった価値のあるレースはいくつもあったにもかかわらず、なぜここまで日本新が出なかったのかが不思議なわけですが、それは為末氏が言っていたように日本記録が9秒台ではなく、10秒01でも02でもなく、00だったことも少なからず影響したでしょうか。

次の日本新は誰も成し遂げていない大台の9秒台だ、という壁を必要以上に、そして無意識に大きく作り過ぎてしまうとでもいうのか。

 

だとすれば、各選手の記録に対する無意識のリミッターは外れたかもしれません。

 

そして9秒台そのものも今までのような価値はなくなるのではないか。

 

現に桐生選手の今回の走りも本人が脚に不安があったというように、桐生選手ベストの走りではなかったはず。

 

多田選手もハードな連戦の疲れからか後半はやや脚が後ろに流れてしまい、好調時の走りよりかは劣ったのではないかと思うので、条件も良かったでしょうか。

 

とはいえ多田選手も10.07のベストで走っていることに違いはない訳で、序盤の飛び出しはやはり見事でした。

そして桐生選手が素晴らしいのはそんな多田選手に先行されても全く動じなかったこと。

 

いくらインカレとはいえ多田選手との対決は少なからずプレッシャーはあったと思います。

そして最近は勝負弱い、などという声もありましたので、その辺りの心理的影響も小さくなかったと思いますが、そんな壁を一つ乗り越えたところに9秒突入が待っていました。

 

レースを振り返ると、スタートは土江コーチもいうようにやや抑え目に見えますが、決して出遅れることはなく、むしろスムーズに飛び出すことができました。

 

跳躍選手が踏切前に一瞬力を抜くタイミングが見事にハマって大ジャンプにつながるかのように、スタートから起き上がるまでの動きは無理なくナチュラルでいて最大限の出力を生み出していたのではないでしょうか。

 

更にこの日はここからが凄かった。

いつもは50mあたりで到達する最高速度が60mあたりだったらしいですが、実際に中間地点を過ぎてからも力みはなく、脚の回転と接地が必要最低限の可動域内で処理され、そこから生まれたリズムと出力を桐生選手は見事にコントロールしました。それも多田選手と競り合いながら。

 

本調子であれば、更に噛み合えば8台後半から9台前半も確かに不可能ではないかもしれないですが、もちろんそんなに単純ではないでしょう。

走りの内容自体は今年の織田記念や、2年前に参考で9.87を出した時の方が良かったかもしれませんが、スプリンターとして優れたレースを作ったのは今回の方かもしれません。

 

今回記録は狙っていなかったとのことですが、いわゆる「出てしまった記録」とは違います。

簡単にいうなら走りに支配されるのではなく、走りを支配したレースだったとでもいうのか。

 

 

いずれにせよ、これで日本選手の限界線をも取っ払うことが本当にできたのなら、それが9秒台の持つ最も重要な意味なのかもしれませんね。

 

 

〜了〜

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンドン世界陸上 男子400mR・その他

M400mR f

 

1.イギリス 37.47

2.アメリカ 37.52

3.日本 38.04

4.中国 38.34

5.フランス 38.48

6.カナダ 38.59

7.トルコ 38.73

ジャマイカ DNF

 

予選を見た印象ではアメリカ、イギリス、ジャマイカが強く、日本は中国、フランスと4位争い。

 

3強の一角がバトンミスをしてメダルもあり得るかと思っていたが、まさかボルトの故障によってこのような結果が訪れるとは思わなかった。

 

多田選手は大外のレーンが良かったのもあるのか、予選同様にトップ争いを演じて飯塚選手へ。

 

飯塚選手はトップの3国には詰められたか。しかし200mの時よりもキレのあるいい走りを見せた。

 

桐生選手はタルボットには先行されたがほぼ同じ位置をキープ。バトンはやや詰まったように見えたがアンカーの藤光選手へ。

 

決勝からのレースとなった藤光選手はベテランらしく、安定した走りを見せて見事に3位でゴール。

 

おそらくケンブリッジ選手でもメダルは取れたのではないかと思うが、この段階で最も好調だったのは藤光選手なのだろう。

やや前傾気味にも見えたが、動きはスムーズでキレていた。後続に追い上げられることなく、最後まで自身の走りができたのはこの選手のキャリアによるものもあるだろう。

 

日本はこれでオリンピックに続いて世界大会2大会連続でのメダル、世界陸上では初のメダルとなった。

チーム全体の安定感はやはり突出したものがあるのだと思うが、これからの選手はこの2年の結果がベースになるだろうからから大変だな。

 

それにしてもイギリスは強かった。全員よかったが2走のジェミリで抜け出したのが大きかったのではないか。

また同じ2走でガトリンが思いのほかリードを奪えなかったことも後押ししたように思う。

 

ミッチェル・ブレイクとコールマンのアンカー対決においては走力ではコールマンに分があるが、バトンのスムーズさに加えて加速走の能力でミッチェルが上回った。

コールマンは個人100mでは冷静だったが、ここではやや焦ったか。

 

そしてジャマイカは無念の途中棄権。

ハードルから駆り出されたマクレオド、また個人100mは準決勝敗退となったフォルテは想像以上にいい走りをしたが、ブレイクは個人に続き精彩を欠いて上位2チームに離された。

その差を追い上げるのに必要な走りは今のボルトには出来なかったということか。

 

結局最後まで走りきることも出来ずに競技場を去り、スーパースターとして残念な結果に終わった。

勝負の世界がいかに厳しく、無情なものかがよく分かるが、無責任に言うならその中で限界を超えて砕け散って終わるのもスプリンターらしいと言えるかもしれない。

 

なので、個人的には残念ではあるがスッキリした最後だと思っている。

いずれにせよ、最後まで強烈な印象を与える選手だった。

 

 

 

 

というわけで、遅くなりましたがザックリとした感想でした。

 

今大会もなかなか盛り上がりましたが、実はあまり他の種目は見れていません。

 が、その中でも男子400mH準決勝のクレメントのレース巧者ぶりに感心してからの決勝でのワーホルムのはじけっぷりなんかは印象に残りましたね。

 

ワーホルムは今季DLからはじけてましたが、大舞台ではクレメントがしっかり合わせてくるんだな、と思ってからのまさかの結末だったので面白かったです。

 

他にはサリー・ピアソンの復活優勝、バルシムの完勝も印象に残りましたが、細かいところでいうと男子マイルでアメリカを破って優勝したトバゴの2走を務めたリチャーズの走りは興味深いものがありました。

 

個人200mでもメダルを獲得し、400mのベストも45秒前半なので妥当な走りだったかもしれませんが、レースの流れを一気にチームに引き寄せた迫力は凄かったです。

もちろんセデニオ、ゴードンらの走りも素晴らしかったですが、今後世界のレースを盛り上げてくれそうな魅力を感じました。

 

男子400m準決勝で43秒台を出したガーディナー、女子100m準決勝のトリ・ボウイの走りなんかも印象に残りますが、やっぱりサニブラウン選手の100m予選が最も強烈だったですかね。

 

ここから2年間は世界大会がありませんが、その間に上記の選手も含めて新たなスターが誕生してほしいですね。

 

 

〜了〜

 

 

 

 

 

 

ロンドン世界陸上 男子200m決勝

 

 M200mf -0.1m

1.グリエフ 20.09

2.ファンニーケルク 20.11

3.リチャーズ 20.11

4.ミッチェル・ブレイク 20.24

5.ウェブ 20.26

6.マクワラ 20.44

7.サニブラウン 20.63

8.ヤング 20.64

 

今季のグリエフには期待していたが、まさか勝ってしまうとは。

勝因は直線で最も余裕があったからだと思うが、それはコーナーの走りから生まれたものなのだろう。

 

見た目の厳つさとは対照的にコーナリングは非常に丁寧で効率的。

「コーナーと仲良し」、そんな優しささえ感じる繊細さがある。

 

もちろん今季9秒台をマークしているそのスピード強化も大きな勝利の要因だろうけども、そのスピードを生かすためにコーナーに対して付かず離れず絶妙なポジションに位置し続ける能力の高さが凄いとでもいうのか。

 

所謂コーナリングの名手、というのとはちょっと違うような気がする。

200mと一体化されたコーナリングとでもいうのか、走力と自身のレースプランを一致させるために割り出された最も効率的なコーナリングとでもいうのか。

いずれにせよ余計な力を使わなかった分だけ最後まで自分のリズムとタイミングで走り抜けることができた。

 

 

ファンニーケルクは僅かだが前半飛ばし過ぎかと思ったが、そうせざるを得なかったのだろう。

準決勝の感覚からもそうしなければ勝てる射程圏に入れないことは分かっていた。

ただ今の状態では脚に限界があり、他を抑えきることができなかった。

 

それでもよくここまでリカバリーしたと思うし、後半力んで乱れそうになる動きを制御するテクニックは群を抜いているのではないか。

二冠はならなかったが、やはり偉大なスプリンターだ。

 

リチャーズは前半インレーンから詰められたことで予選、準決ほどのピンポイントで接地するような軽快な走りはできなかったが、前半どのポジションにいようとも後半追い上げる自信があったのか、最後までよく粘ってメダル獲得。

走りのタイプは全く違うが、レースパターンはケンテリスを思わせるものがある。

後半大逆転するには線が細すぎるかもしれないが、そこがこの選手の走りの魅力でもあるんだろう。

 

ミッチェル・ブレイクとウェブは走力を持て余したような走りといった印象。

それでもよりまとめることができたミッチェルが先着した。

もう少し前半出られるスピードがあるならば驚異的な選手になりそうだ。

 

ウェブは大外のレーンが影響したのもあるのか、かなりロスの多い内容だったが逆にそれだけ不安定な内容ながらも、それなりに辻褄を合わせることができるのもなかなか興味深いものがある。

 

マクワラは食中毒のため予選に出られなかったが、なんと救済措置でタイムトライアルを実施され見事にクリアして準決勝進出。更に決勝にも駒を進めて這い上がってきた。

 

マクワラの走りはとにかく上下動が少ないが、身体が浮くのを抑えているのではなく、膝から下だけで小走りする時のように、ナチュラルに浮かない脚運びができているように見える。
それだけ効率的に地面を捉えているのだろうが、反対に言うと可動域が狭く、決勝では並ばれてから対処できなかった。

 

やはり棄権するしかなかった400mでの勝負を見たかったな。

しかしマクワラは間違いなく今大会の主役の1人になった。経緯もさることながら、キャラクターもあるだろう。

 

 そしてサニブラウン選手。

正直決勝は厳しいと思っていたが準決勝の走りは素晴らしかった。

特にコーナーの頂点に差し掛かるところから通過するまでが滑らかで、自身の走力を最大限に引き出すような素晴らしいコーナリングだった。
直線ではそんな加速を得た上で、規格外の出力を一歩一歩に乗せていくわけだから海外の強豪もそう簡単に捉えることはできない。

そしてその能力に見合うファイナリストという地位を18歳にして手に入れた。

 

決勝は脚に不安があり、直線で勝負できなかったがコーナーであそこまで戦えたのなら今後に十分期待できる。

誰も想像つかないような、本当にとんでもない選手になるだろうな。

 

ヤングはリズムが乱れると、とことん崩れてしまうのかその走力とは裏腹にいいところなく終わってしまった。

準決勝も1着通過しながら余裕はなかったが。

 

なお飯塚選手は準決勝で5着に終わったが、過去に出場した世界大会の個人種目の中では最も健闘したのではないかと思う。
競り勝ったシンビンやドワイヤーも途中で諦めたり、力を抜いたレースではなかったように見えるので、そんな中で5着は見事。

好調時のキレはないものの、冷静にレースを捉えて失速を最大限に抑えられた経験は大きいのではないだろか。
 

 

 

〜了〜